職場のメンタルヘルス 調子を崩してしまった方のアフターフォロー

目次

働く人のメンタルヘルスが課題として挙がりやすい昨今、誰にとっても「調子のよい状態で働く」ということは重要です。企業として業績を上げていくためだけでなく、企業で働く人たちのメンタルヘルスがより良く保たれることで、より活き活きと仕事に向き合えたり個人やチームでの業務が活性化されたりといったことが起こりやすくなります。

春の大型連休明けの5月は、「5月病」という言葉がテレビやSNS等でもよく見られるほど、気持ちや身体に不調を感じる人が多い時期の一つです。一年を通してこうした「メンタル不全が起きやすい時期」というのはいくつかみられますが、一般的に5月病は起こりやすいものの一つとされています。

また、労働環境を整えるための法律等も整備されてきており、社会全体としてもメンタルヘルスの保持増進に注目が高まっていることがわかるかと思います。

では、実際に調子を崩さず働くための予防や一度調子を崩してしまった方へのアフターフォローはどのように行っていくのでしょうか。

今回は、メンタルヘルスが不調にならないための予防や、不調に陥ってしまった方へのフォローについてお話します。

職場でメンタルダウンを予防するには

頭に入れておきたい、3つの予防の観点

メンタルヘルスを予防する観点としてよく言われるのが「一次予防・二次予防・三次予防」というものです。それぞれについて簡単にご説明します。

・一次予防:環境の改善やストレス状況への対処など、メンタルヘルスの保持増進を行うことで不調を予防するもの。

・二次予防:メンタスヘルスの不調を発見し、本格的な不調に陥ってしまう前に早期に対処を行うもの。

・三次予防:不調が深刻な状況となった方への支援や復帰に対するフォローを行うもの。

この3つの観点でもって、メンタルヘルスの不調に対応していくことが大切です。

メンタルダウンの原因になりやすいこと

では、具体的にどういったことがメンタルヘルスの不調に繋がりやすいのでしょうか。

「働き盛り世代のメンタルヘルスの現状と課題」(廣尚典.「総合健診」2016)や「メンタルヘルスの規定因と余暇による恒常宝暦の検討」(川久保惇.2017)の関連部分を見ると、次のようなことがわかります。

・メンタルヘルス不調に限定すると、職種や年齢に大きな差はない。

・ハラスメントや業務量の変化など、共通して強いストレス要因となっているものがある。

・相談機会を設けても、立場や関係性次第で開示自体がストレスになる場合がある。

職場の誰しもが不調になりうる中で、先述した一次予防・二次予防・三次予防を行っていくことが重要です。その中で、「相談機会がストレスにならない」「相談したいと思える」環境作りが一つのキーポイントになっていきます。

それでは、人間関係を構築していく上でどのような考え方が必要となるのでしょうか。

相談できる人間関係の構築

人間関係の構築について、当社メンバーの体験談をもとにお話します。

心理的安全性を高めるコミュニケーション

相談しやすい・相談がストレスにならない関係性を築くためのキーワードとなるのが「心理的安全性」です。

心理的安全性とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことをさします。

このような状態を醸成するには、日々のコミュニケーションが大切です。

では、具体的にどのようなことができるのでしょうか。2つの例をご紹介します。

重要なことの一つとして、仕事の相談に限らず、日頃から困った時に声をかけられる、ネガティブな事・感情をさらけ出せるような関係性を構築するということがあります。

そのためにも、次に挙げる2つのことからはじめてみるのはいかがでしょうか。

まず自分からさらけ出す

関係値のない状態で「困っていることはありますか?」と聞かれたとき、困惑してしまうことも多くあるかもしれません。

面談等をしていく中で関係値を作る際、まず自分の苦手なところを相手にさらけ出すというのは一つ有効なことです。

苦手なところ等を先に見せることで「この人に言っても大丈夫だな」と心理的なハードルを下げやすくなるという面もあります。

実際の経験として、普段意識的に自分の苦手なことを開示することで関係性を構築していたり、自分の苦手なことができるチームメンバーに頼るようにしていたりと実践しているそうです。

また、職場の先輩で「教えて」と声をかけてくれる人がいて、その人のことを信頼できると感じていた方がいたり、学校現場で教師の自己開示が子どもとの関係性にとって良い効果があるという研究もみられていたりと、自分から苦手なことをさらけ出していくことは有効であるといえます。

チームの仲間を気にかける

また、関係性を構築する上で大切なのは「相手に関心をもつ」ことです。相手への関心をもち、それを表明していくことも、有効なことの一つになります。

例えば一緒に仕事をしている仲間の顔色や様子など、相手への関心をもって見ていると「いつもと違うな」「なんだかおかしいな」と気がつくこともできるかもしれません。

もちろん、人によって気がつくのが得意だったり苦手だったりということはあります。そのため、気が付きやすい人がチームにいる状態になっているか見返したり、自分自身も意識して見ていくということも効果的になるのではないでしょうか。

しかしこれはスキルや技術として表面的に行うのではなく、自分自身の中で関心をもったうえで周りを見ていくことが大切になります。

しかし、環境が整っていたり関係性が構築されていてもメンタルヘルスの不調が0になることは難しいかと思います。

そういった場合、どのような対処が可能なのでしょうか。

メンタルダウンは「簡単に回復する」ことはない

一度崩れた調子の寛解

メンタルヘルスを一度崩してしまうと、完全に元に戻すことはできないと言われています。

なぜなら、気持ちが落ち着いたり体調が良くなったりと状態が変化しても、不調だった時期の気持ちや不調の原因になった経験などは記憶から消えないためです。

「不調な時の気持ちや原因が記憶から消えない」というとネガティブな印象を抱く方もいるかもしれません。しかしこれは悪いことではなく、記憶から消えないことで同じ辛さを繰り返さないための警鐘となるという考え方もできます。

そのため、具体的な症状や不調状況が消失している「寛解」という状態を知っておくことが大切です。

職場復帰までに行われること

実際にメンタルヘルスの不調を抱え一度休むことになった場合、どのように職場復帰がなされるのか、一例をご紹介します。

⚠︎ あくまでも一例ですので、「これが正解」であるとか、「この方法しかない」ということは勿論ありません。

メンタルヘルスについて考えた時、職場復帰支援は「三次予防」と分類されます。三次予防には復帰支援の他に、メンタルヘルス不調の再発防止も含まれ、休職者への精神的なフォローや職場復帰支援プログラムの実施、医療との連携や職場復帰時の関係者への研修などがこれにあたるとされています。

マネジャーにできること

メンバーが復帰した後のアフターフォロー

実際に部下やチームメンバーがメンタルヘルス不調で休職し、その後職場に復帰した際にどのようなフォローができるのでしょうか。

ひとつ重要なこととして挙げられるのは、復帰する際に休職者と丁寧に連絡をとるということです。

2005年3月の「メンタルヘルス不全者の職場復帰支援に関する研究調査(第一報)http://www.jsomt.jp/journal/pdf/053030153.pdf」によると、不調を抱えて休職した方の9割弱が、寛解を迎えていない状態で復職を希望する「背伸び復職」を希望するそうです。これには、職場に対する申し訳なさや自身の経済事情などが起因するとされています。しかし、無理をして復帰することで再発等のリスクが大きくなるため、主治医の判断に基づいて復帰まで長めに時間を取ることも多いようです。

しかし、こういった休み期間の延長をはじめとした対応は一見すると休職者自身の希望にそぐわないことも多くあります。職場で配慮した内容が「広角」「左遷」といったネガティブな印象に繋がってしまう場合も少なくありません。

そういったことを防ぐためにも、まずは丁寧に休職者本人と連絡をとることが大切になってきます。

マネージャー自身のメンタルを守る

チーム内のメンタルヘルスケアに気を配ったり、休職者の職場復帰支援を行ったりといった業務は非常に重要です。ただ、周囲のケアばかりを行っていると自分自身が辛くなってしまうということもあるかと思います。

制度や仕組みだけではカバーしきれないこともあり、誰かひとりで行っていく仕事ではありません。自分自身のケアとして、周囲の人に話をしたり複数人で行ったりということも大切になってきます。

誰かひとりが「制度」として行っていくというより、組織全体で相手のことを気にかけ、声をかけていけるとより良いのではないでしょうか。

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