人の採用は「入社した時点」で完了したと言っていいのか?

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RECOMO 橋本です。

人事系の講演といえば、「人をどうやってうまく採用するか?」がテーマになるケースが多く、私もそのテーマで何度も話をしたことがあります。

そこから学んだ多くの方が、各社で採用を頑張って、入社いただけるようになった。嬉しい!これで会社の未来への道が開けた!と。

そして数ヶ月もしないうちに、また静かに同じポジションの採用を始める。

短期間で人が辞めてしまったとのことです。

今までいくつかの会社で人事領域に携わり、採用も数え切れないほど経験してきましたが、「人を採用する」ということの中で、「採用できて、入社してもらえたら成功!」と考えている方が多いので、今回は入社後の考え方について書きます。

入社した時の感情を忘れていないか?

新卒でも中途でも、新しい会社の新しい環境に入った時の感情を覚えていますか?

これから新しいことが始まる、というワクワク感と同時に、やっていけるだろうか、というドキドキ感、不安感を同じか、それ以上に持っていたのではないでしょうか?

たまに「中途採用は即戦力なんだから、フォローは要らない」という方がいますが、たくさんの入社される方を見てきて思うのは「そもそもその会社に最初からベストマッチして、Day1から即戦力の人などいない」というのが事実です。

どんなに力のある人でも、周りの人との人間関係、信頼関係、動きやすい・暴れ回れる環境整備が最低でも必要になります。

採用には非常に力を入れている会社でも、入社した後は急に「キャッチアップは自分でやってくださいね」と放り投げるケースが多くて、会社へのモチベーションも、初日、2日目ぐらいをピークに、後は下がる一方という話もよく聞きます。

人の気持ちは移ろいやすい

一年365日を毎日一定の感情で生きれるという人はほぼいません。

置かれた立場、役割、周囲の環境によって、日々人の気持ちは変わっていきます。

変わることは当然として、その変化を適切なタイミングで捉えて、適切な対応ができているのか、が定着率を上げることを考える時のポイントになってきます。

日常生活でも「ちょうどいいタイミングで、話を聞いてくれる」という人は周りにいませんか。そういう人には良い印象を持っていると思います。

一緒に働く仲間同士とも、そう思える環境ができれば、定着率は上がっていきます。

入社後の気持ちの変化

人が会社に入社した後の気持ちの変化は、タイミングで捉えると特徴が見えてきます。

平均の就業年数が短く、1年以内の短期で人が退職するケースが多い場合の特徴を挙げてみます。

入社1ヶ月後まだ雰囲気に慣れないけれど、入社前にやりたいと思っていたことはできる可能性を感じる。
入社3ヶ月後雰囲気には慣れた。チームメンバーとも話すことが増えてきた。モチベーションは比較的高い。
入社6ヶ月後会社や部署全体の動きが見えるようになってきた。それに伴い不満な点も増えてきた。周りでも愚痴を耳にする。
入社12ヶ月後この環境で自分が成長することは難しいと判断して、転職を決意した。

最初は周りの様子が分からないので、視点が「私」になり、徐々に「チーム」になり、半年ぐらいで「部署全体、会社」になります。

視点が広がれば、その分、関わる人も増えて、合う合わないも出てきます。

そこで不満や愚痴が出てくるようになる。

問題は、不満や愚痴が出てくることではなく、それが出ていることを認識しているか、見ないふりをしてうまく切り抜けようとしていないか、ということ。

ネガティブな感情を持っている人をそのまま放置しておくと、感情が悪い方向に広がっていき、やがて周りにも伝えて広がっていく形になります。

多くの人の視点が広がり、不満や愚痴が出やすくなるタイミングで、話を聞く機会をつくる。

何が起きていて、どう感じているのかを知る努力、姿勢を見せることが重要です。

解決できる課題ならすぐに対処したらいいし、すぐには解決できない課題であるなら、一緒に対処するか、対処する過程を伝えるようにすると、その姿勢を見てくれて、感情が変わってくることも多くあります。

真の採用成功に繋がったと確信できるKPIとは

採用が本当の意味で「うまくいった!」と言えるのは、直近の採用計画を達成できたから、ではありません。

苦労して優秀な人材を採用できたとしても、力を発揮することなく(発揮できる環境すらなく)、短期間で辞めていく人が多ければ、コスト面でもマインド的でもダメージを受けます。

個人的に本当の意味で「採用が成功した!」と確信できる指標(KPI)は以下に置いています。

5年〜10年後、採用した人の中で、何人が経営幹部やマネージャーなどの重要ポジションに就いているか?

ここに置いていれば中長期で人の成長や感情の変化に、向き合い、寄り添い、解け合う必要性が生まれます。

経営の観点からも人を採用する本質的な意味は、「中長期で会社の成長に大きく貢献してくれるかどうか」にあるはずです。

次回は、「人の定着率を上げる企業のメリット」について書きます。

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