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今から17年前の2005年。
私(RECOMO代表・橋本)が初めてIT企業で人事になった時に、周りのあらゆる人から言われた言葉。
「橋本さん、人の採用は以前と比べても、いよいよ難しく、厳しい環境になってきましたよ」
どの会社も積極的に人を採用して、予算を増やして採り合いの状態になっているから、とのこと。
確かに求人媒体を見ても掲載件数が右肩上がりに増えていて、人材紹介各社への登録件数も増えている状況だった。
でも、採用に取り組んでみて、「採用は難しい・厳しくなってきた」というのは完全な「思い込み」だったことが分かった。
奇をてらった面白い施策を打つのでも、報酬を上げるのでもなく、採用の王道戦略を愚直に実行するだけで、最高に結果を出すことができた。
そして今、2022年。
至る企業が「採用は難しい・厳しくなってきた」と言っている。
もちろん周辺環境の変化は激しくなっている。
ただ、採用が難しい、厳しいと感じている会社の採用戦略と内容を見ていて、「それはうまくいかないよな」と感じることが多い。
人を採用する時に大前提で外してはいけない部分がいくつかあるのですが、最初からその軸から外れている会社が、意外にも多くあります。
企業は人で成り立つので、人を採用する力次第で、会社の成長の方向性が大きく変わっていきます。
今回の記事では、「採用戦略で外してはいけない王道の部分」をいくつか紹介していきます。
「採用は難しい・厳しくなってきた」→思い込み
先にはっきりさせておきたいことがあります。もし頭の中に「採用は難しい・厳しくなってきた」という思いがあるなら、これを読んだ瞬間から消してください。
「採用は難しくありません。厳しくもありません」というのが事実です。
ほとんどの会社で「考えるべきこと」「やるべきこと」から外れた戦略を行っているので、うまくいかない会社が多くあるだけです。
下に書いたポイントを押さえるだけで、3ヶ月で成果が出始めて、半年で変化を確信できて、一年後に会社の成長スピードのギアが明らかに変わったことを実感できるはずです。
「採用は難しい・厳しくなってきた」というのは、採用戦略の王道から外れた戦略を行い、うまくいかない人の言い訳、思い込みに過ぎません。
採用戦略で外してはいけない5つの王道
①「会社にとって人はどんな存在か?人にとってあなたの会社はどんな存在か?」
採用戦略の起点で最初に立てる問いはいつも同じ。極めて本質的な問いで、どんな答えでも正解で間違いはありません。
採用に留まらず、会社が行うあらゆる側面で、この本質的な問いに対する答えが、薄く広がった状態でにじみ出てきます。
人を会社の売上・利益を生み出す道具として考えるなら、状況を捉えて何かを改善したり生み出す人よりも、指示に従って動く人が集まる。
会社にとって人は、「人と組織の組み合わせで、その可能性と価値を最大に広げてくれる存在」として考えて、そこにいる人にとっても「会社は自分の可能性と価値を広げられる場所」と考えることができたとしたら、発揮されるパフォーマンスは通常の何倍にもなるのが容易に想像できるでしょう。
イメージとしては会社の人に対する考え方の円と、人の会社に対する考え方の円の重なりの面積を増やして、色味を深く濃くしていく形になります。
②人を採用することに2つの意味を捉える
「人を採用する」ことには2つの意味があると考えられます。
(1)人の採用=会社の命運を左右する意思決定
会社が人の採用をして、仕事をすると何かしらの影響を与えることになります。
人によっては重要な役割を担ったりすることも。そういう人の場合は、確実に会社のその後の命運を左右する要因になります。
「このポジションにスキル、経験がマッチするから」として、まずは採用してしまえばいい、と安易に判断すると、後々会社の成長にダメージを与える事象が起きやすくなります。
(2)人の採用=入社する人の人生を左右する意思決定
会社に入社する人にとって、いつ、どこで、誰と、どんな仕事をするのか、は人生を大きく左右する出来事になります。
面接や面談で話す内容が、「その人のスキルや経験」だけになっている場合、人生を左右する意思決定を迫られている相手の感情には寄り添えていないので、入社を決められる要因にはなりません。
結果、採用するのが難しい状態になっていくわけです。
③「人の可能性・価値を最大に広げる」視点で組織を捉える
「仕事は一人でやるんじゃない。チームで、組織で、会社全体でやるんだ」
頭でこの概念を分かっている人は多くいても、実際に組織を作る時は、抱えきれないぐらいの大きな役割を担えるたった一人を採用で探す、というギャップが生じることが多くあります。
役割や仕事をやるのが人であるなら、その人の可能性と価値を最大に広げる方法を考えて、強みを活かして、苦手な部分は他の人でその分野が得意な方を付けて補完する、というような組織全体の戦略を考えるといいかと思っています。
④人を集めたい時は、決して「集めない」
商品やサービスを営業する時でもよく言われますが、「売り込もうとするほど売れない」「相手の状態を深く理解して、より良い状態に一緒に持っていきたいと思うと、自然と売れる」というのがあります。
人の採用でも同様で、SNSなどの投稿でも単に「人を募集してます!!!」とだけ書いて、募集した「つもり」になっているのを頻繁に目にします。
ただ応募する側の心理で考えてみると、「その会社がどんなことをやっているのか」「その会社がどんな状態を目指しているのか」「その会社がどんな価値観や文化を大事にしているのか」が分からないと、応募したいという気持ちは起きません。(抜群の知名度がある会社は別ですが、その場合でも単に募集しただけでは採用したい人は来ません)
また「その会社が人の存在をどのように思っているのか」や「思っていることを体現している施策や仕組みは何かあるのか」という姿勢も気になっています。
それなのに、こうした人の心を動かす内容なのに、ほとんどの会社で自分たちのスタンスをどこにも表現していないので、採用したい人が応募してくれるチャンスを自ら失っていたりします。
⑤熱量の有無ではなく、行動の「WHY」「DO」の強さで判断する
面接でよく「この候補者の我社への熱量はすごい!」として高評価を付ける人がいたりします。
※面接について参考
【良い面接とは?】意識したい3つの極意と具体的なテクニック9選
冷静になって考えてみてください。本当に求めている人は、熱っぽく、テンションが高く、会社への愛を語るだけの人でしょうか?
過去の事象をテーマに、どんな行動を、なぜ行ったのか。周りの人との関係の作り方や巻き込み方など、行動の裏側にある「なぜ」と実際の行動力とその結果から学んだことで、採用したい人かを判断することになるはず。
人の判断軸を間違えないようにしたい。