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10人規模で評価制度を入れると「ほぼ確実に揉める」
結論から言います。
10人前後の会社が評価制度を入れようとすると、ほぼ確実に組織が痛みます。
「制度が未熟だから」ではありません。もっと根が深い。
経営者の方なら、こんな状況に心当たりがあるはずです。
- 頑張っている人と、そうじゃない人の差をつけたい
- でも「基準」がなくて、毎回“感覚”で決めてしまう
- 評価の話をすると空気が重くなる
- 結局、給料が“なんとなく”で決まる
- 社長が最後に全部決めるしかなく、孤立する
これは異常ではなく、構造的必然です。
10人規模が悪いのではありません。10人規模の「あるある」を、制度で無理やり解決しようとすると壊れるのです。
そもそも評価制度の正体は「人事制度」ではない
評価制度を「人を測る道具」だと思った瞬間に、だいたい失敗します。
評価の本質はこうです。
評価制度は、人を測る道具ではない。社長の経営判断を、組織に配る“翻訳機”である。
評価がうまくいっている会社ほど、評価は「採点」ではなく「経営共有」です。
逆に、評価が揉める会社ほど、評価は「人を裁く行為」になっています。
ここで重要なのは、評価制度は“制度”に見えて、実は経営そのものだということです。
評価とは、社長の「何を大事にするか」「今年どこで勝つか」という意思決定を、社員の行動に変換する装置です。
10人で評価が壊れる、たった1つの理由
では、なぜ10人規模で評価が壊れるのか。
理由は1つです。
仕事と経営が、まだ分離していないから。
10人前後の組織では、こうなりがちです。
- 戦略が社長の頭の中にしかない
- 役割が未定義で「どこまでが誰の責任か」が揺れる
- 判断基準が言語化されていない
- なのに、点数だけ付けようとする
これ、たとえるなら “地図なしで採点” です。
行き先もルールも曖昧なのに、点数をつける。そりゃ揉めます。
制度の出来ではなく、順番の問題です。
放置すると起きる3つの末路(静かに組織が死ぬ)
この状態で評価を走らせると、だいたい次の3つが起きます。
末路①:優秀な人ほど「評価は運ゲー」と悟って冷める
挑戦するほど評価が不利になり、無難な行動が正解になる。
結果、成長速度が落ちます。
末路②:無難な人が生き残る
挑戦しない人が評価で得をする構造になる。
気づいたら“空気を読める人だけが残る”組織になります。
末路③:社長が裁判官になって孤立する
評価の不満が全部社長に集まり、社長の仕事は「経営」から「裁く」へ。
ここから先、社長が一番のボトルネックになります。
評価は本来、成長のエンジンになれる。
しかし順番を間違えると、成長を止めるブレーキになります。
RECOMOの結論:10人に必要なのは「制度」ではなく「翻訳」
RECOMOの答えはシンプルです。
10人規模に“評価制度”は早い。
先に必要なのは、経営の翻訳装置です。
言い換えるなら、社長がこう決めること。
「俺の頭の中を、組織に配る」
評価とは、人事の管理ではなく、経営の共有です。
そして共有の前提は、言語化です。
具体策:評価を機能させる3ステップ
ここからが本題です。
「じゃあ結局、何をすればいいの?」に、3つだけ答えます。
(制度論でも精神論でもなく、経営設計として)
ステップ①:「点数評価」を捨てて、“経営スコア”を作る
まず、10人規模で揉めやすいものを捨てます。
- 行動評価
- 態度評価
- スキル評価
- 抽象的なコンピテンシー点数
代わりに作るのはこれ。
「今年、会社は何で勝つのか」スコア(=経営テーマ)
例:
- 採用が最重要なら → 採用への貢献
- 品質が最重要なら → クレームゼロ、再発防止
- 顧客が最重要なら → リピート率、解約率、紹介数
評価対象は「人」ではなく「経営テーマ」。
ここがブレないだけで、揉め方が変わります。
ステップ②:給料を「期待値の契約」に変える
次に、給与の定義を変えます。
点数 → 昇給、ではありません。
給料=過去のご褒美ではなく、未来への投資額
つまり、「次のフェーズで何を担うか」=給料です。
この瞬間、面談の会話が変わります。
「給料上げてください」から、
「次に何を担う?」へ。
会社は未来に給料を払います。
評価も同じく未来の設計です。
ステップ③:評価面談を「経営会議の縮小版」にする
最後に、面談の目的を変えます。
点数を伝える場ではなく、経営を配る場にする。
話すことは3つだけです。
- 会社の今の課題
- あなたに期待する役割
- それを果たしたら、どうなるか
これができると、評価面談は「査定」ではなく「経営参加」になります。
そして社長は裁判官から、経営者に戻れます。
いますぐ使える:診断チェックリスト
以下に当てはまるほど、評価制度を入れる前に「経営の翻訳」が必要です。
- 評価基準を聞かれても、言葉にすると曖昧になる
- 給与が“なんとなく”で決まり、説明しづらい
- 役割が「やれる人がやる」になっている
- 評価面談が怖くて、先延ばししがち
- 優秀な人ほど不満を抱えていそう
- 社長が最後に全部決めていて、心底しんどい
- 「制度を入れれば整うはず」と期待している
もし3つ以上当てはまるなら、評価制度の前に、まずは現状把握が先です。
現状把握が先です。
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RECOMOでは、10人前後の会社が“次に詰まる場所”を特定するために
「10人の壁×評価 診断」を用意しています。
今の評価が「採点」になっているのか、「経営共有」になっているのか。
数分で、構造のズレが見えるはずです。
よくある質問
Q1. 10人でも評価制度が必要なケースはありますか?
あります。ただし多くの場合、「制度」ではなく「方針」と「言語化」が先です。
制度が必要になるのは、経営テーマ・役割・期待値がある程度固定されてからです。
Q2. 点数評価を完全にやめると不公平になりませんか?
むしろ逆です。10人規模の点数評価は“印象”が混ざり、不公平が増えます。
経営テーマと期待役割が明確になると、評価は透明性が上がります。
Q3. 給与を期待値契約にするのが難しいです
難しいのは自然です。だからこそ「期待役割の言語化」を先にやります。
役割が定義できれば、給与は“交渉”から“合意形成”に変わります。
まとめ:評価は「経営を配る装置」
最後に、要点だけまとめます。
- 10人で評価制度を入れると壊れやすいのは、制度の問題ではない
- 評価は人事ではなく経営。社長の判断を組織に配る翻訳機
- 壊れる原因は「仕事と経営が分離していないまま、点数だけ導入する」こと
- 解決は順番:
経営テーマ → 期待役割 → 面談(経営共有) → 評価
評価で揉めている会社は、評価が悪いのではありません。
経営がまだ共有されていないだけです。
追伸:今日やる1アクション
制度を作る前に、紙にこれを書いてください。
「今年、会社が勝つ条件を3つ」
それを全員に伝えて、こう聞く。
「この勝ち筋のために、あなたは何を担う?」
これが、評価の原型です。