目次
「採用はできるのに、なぜか1年以内に辞める」
「辞めるのは“問題社員”じゃなく、むしろ優秀な人」
「現場の空気がギスギスして、社長が火消しに追われる」
50人前後で起きる定着崩壊は、珍しくありません。
ただ、ここで多くの会社が見誤ります。
福利厚生を足す。1on1を増やす。イベントをやる。
それでも止まらないのは、理由があります。
50人の壁×定着の正体は、定着施策の不足ではなく「組織の統合不全」です。
もっと言うなら、会社の中で静かに始まる 「功績の内戦」 が本丸です。
なぜ50人で定着が崩れるのか:よくある分裂の構図
50人を超えると、会社の中に複数の「正しさ」が生まれます。
- 初期メンバー:「自分たちが会社を作ってきた」
- 新規メンバー:「後から入った自分たちが会社を大きくしている」
ここに、部門間・職種間の壁も積み上がります。
- 営業:「俺たちが稼いでる」
- 開発:「俺たちが作ってる」
- 管理:「俺たちが守ってる」
どれも正しい。だからこそ厄介です。
会社として「功績の物差し」が設計されていないと、正しさは共存できず、次の現象が起きます。
- すれ違いが「悪意の解釈」になる
- 不満が派閥に育つ
- 表面上は平和なのに、水面下で信頼が削れる
そしてある日、退職が点ではなく連鎖になります。
放置すると何が起きるか:大量離職の連鎖メカニズム
50人の壁の怖さは、離職が一度起きると加速する点です。
- 誰かが辞める
- バックアップがなく、残った人に負担がのしかかる
- 疲弊→不満→雰囲気悪化
- 「ここで頑張るのは合理的じゃない」と判断され、さらに辞める
ここまでくると、施策の足し算では止まりません。
必要なのは、会社を一つに戻す設計です。
まず誤解を解く:定着は「仲良し」ではなく「設計」で決まる
定着の議論は、すぐに手段に飛びがちです。
- 1on1を増やそう
- 交流会をやろう
- 福利厚生を手厚くしよう
もちろん無意味ではありません。
ただ、50人の壁で効かないケースが多いのは、根本原因が別だからです。
このフェーズの定着崩壊は、ざっくり言えばこれです。
- 期待値のズレ(心理的契約の破れ)が溜まる
- 功績の奪い合いが起きる
- 相互理解ゼロのまま一致団結を叫ぶ
つまり、定着の問題ではなく、統合の問題。
ならやるべきは、統合のOSを入れることです。
50人の壁×定着を反転させる「3ステップ」
ここからが本題です。
RECOMOが現場で再現性高く効かせているのは、次の3ステップです。
ステップ1:功績の内戦を止める「功績の統合スコアボード」
功績の奪い合いは、称賛で止まりません。
止めるのは 物差しの再設計です。
会社として功績を3つに分けて、明文化して固定します。
- 創業の功績:土台を作った
- 成長の功績:伸ばした
- 持続の功績:守り、回した
ポイントは、経営がこう言い切ること。
「この3つ全部が勝ち。どれかを下げて勝つ会社にはしない」
功績の土俵が1つだと奪い合いになる。
土俵を3つに分けて、奪い合えない構造に変える。
これだけで、内戦は驚くほど鎮まります。
ステップ2:入社1・3・6ヶ月で「期待値のズレ」を回収する
離職の本丸は、退職理由に書かれない期待値のズレです。
これを放置すると「負債」になります。そして退職で回収されます。
だから、辞めた人に聞くのでは遅い。
辞める前の人から回収する。そのためのタイミングが1・3・6ヶ月です。
1ヶ月:着地確認
- 入社前にやりたいと思っていたことはできているか?
- 人間関係は良好か?
- 想定外だったことは何か?
3ヶ月:戦力化の分岐
- 今いちばん力を発揮できない原因は何か?
- 残る理由は増えたか/減ったか?
- ズレを1つ直すなら何か?
6ヶ月:定着or離脱の最終分岐
- この会社で実現したいことは言語化できているか?
- 来期、どの役割なら勝てるか?
- 不満ではなく改善案として何が言えるか?
そして最大のコツは、面談で終わらせないこと。
ズレが出たら72時間以内に「修復案」を提示します。
直せないなら直せないと明言し、代替案を出す。
曖昧を消す会社ほど、定着は戻ります。
ステップ3:相互理解を“施策”から“インフラ”に変える
「全社会で相互理解の場を作る」
「部署横断のランチ会や全社プロジェクトを企画する」
これは非常に有効です。が、やり方を間違えるといいことをした気で終わります。
相互理解は気分ではなく、インフラとして設計します。
全社会:スローガン禁止。相互理解の儀式にする
- 人生の転機を3つ(短く)
- 次の半年で成し遂げたいことを1つ
- 助けてほしいことを1つ
部署横断ランチ:三角形で固定する
- 初期メンバー × 新規メンバー × 別職種
派閥の直線を折る設計です。
全社プロジェクト:文化の統合に使う
成果だけではなく、初期の誇りと新規の自負が両方活きるテーマを選ぶ。
(オンボード刷新、評価の見える化、採用の勝ち筋づくり 等)
まずはセルフチェック:あなたの会社はどこで詰まっているか?
1つでも当てはまるなら、定着は施策より先に構造を疑うべきです。
- 辞めるのが不満が多い人ではなく、静かに諦めた「いい人」
- 部署ごとに空気が違い、別会社みたいになっている
- 入社後のフォローが「現場任せ」になっている
- できる人に仕事が集中し、燃え尽きが起きている
- 「一致団結」を言うほど、冷めた反応が返ってくる
診断で「定着が崩れるボトルネック」を構造で特定する
ここまで読んで「うちも当てはまる…」と感じたなら、次にやることは明確です。
施策を増やす前に、どこで詰まっているかを特定する。
RECOMOの 「人数の壁×組織ボトルネック診断」では、
50人前後で定着が崩れる原因を、感覚ではなく構造として可視化します。
- 功績の内戦が起きている箇所
- 期待値のズレが溜まっている工程(オンボード/評価/役割/意思決定)
- 部門間の分断ポイント
- 先に直すべき“最優先の一手”
よくある質問(FAQ)
Q. 1on1や福利厚生は意味がないのですか?
A. 意味はあります。ただ、50人の壁で定着が崩れている場合、根本原因が「統合不全」なので、まずは構造(功績・期待・関係性)を整えた上で効かせるのが最短です。
Q. 退職理由を聞いて改善しているのに止まりません。なぜ?
A. 退職理由は回収の言葉になりがちです。本丸は「辞める前の期待値のズレ」。入社1・3・6ヶ月の回収設計があると、離職は連鎖しにくくなります。
Q. 初期メンバーと新規メンバーの対立が見えません。大丈夫?
A. 見えていないほうが危険です。表面上は平和でも、水面下で解釈が悪意化しているケースが多い。功績の物差しを再設計すると、分裂は予防できます。
結論:50人の壁は“定着”ではなく“統合”の問題
50人の壁で起きる定着崩壊は、制度でも手当でもなく、会社が一つでなくなることから始まります。
だからこそ、やるべきは足し算ではなく、統合のOSの実装です。