50人の壁で採用が崩れる会社の共通点

目次

「50人を超えたあたりから、採用が急に難しくなった」
「採っても辞退、入っても早期離職。現場の空気も悪い」
「だから外部から優秀なマネージャーを採りたい…」

この流れ、珍しくありません。むしろ自然です。

ただ、ここで起きる「ある典型パターン」があります。
外部から優秀なマネージャーを採った瞬間に、組織が静かに壊れ始める——という現象です。

現場に摩擦が生まれ、古参やエースが冷め、退職が連鎖する。採用単価が上がり、焦ってまた外部を採り、さらに文化が薄まる。最後は社長が全部背負う。社長依存が固定化する。

結論から言います。
50人の壁の採用は「採用力」の勝負ではありません。
理念(判断基準)を組織で運用できているか=経営組織OSの勝負です。

この記事では、50人前後で採用が崩れる構造を分解した上で、理念採用を実装するための3ステップを、テンプレ付きで解説します。

この記事で分かること

  • 50人の壁で採用が崩れる根本原因(求人・媒体の問題ではない)
  • 外部マネージャー採用が失敗しやすい「構造的な3要因」
  • 辞退・早期離職・退職ドミノが起きるメカニズム
  • 理念採用を”実務で回る形”にする3ステップ(テンプレあり)
  • 経営者が今日から着手できる「採用設計の一手」
  • 最短で現場の空気を変え、権限委譲を進める土台の作り方

50人の壁で起きているのは「人がいない」問題ではない

50人前後で採用が詰まる会社の多くは、「人がいない」「採用が弱い」と捉えます。しかし実態は違います。

会社の未完成さに耐えられる人を採れていない
これが本質です。

このフェーズの会社は、良くも悪くも変化が激しい。戦略も、組織も、役割も、評価も、毎月変わる。

この状態でスキル・経験中心の採用をすると、次のような問題が起きます。

  1. 候補者は「前職の正しさ」で判断し始める
  2. 現場は「この人、うちを分かってない」と感じ始める
  3. 小さな摩擦が積み重なり、空気が割れる

そして、採用の失敗が「組織崩壊」に直結します。

「優秀な外部マネージャー採用」が失敗しやすい3つの理由

外部マネージャー採用が失敗しやすいのは、スキルの問題ではなく構造の問題です。

1)会社の変化率が高すぎる

50人前後は、組織の形がまだ固まっていません。完成された大企業・成熟企業の経験が豊富なほど、無意識に「前職の正解」を持ち込みやすくなります。

その結果、あの言葉が出ます。

「普通こうしますよね?」
「私の前職では◯◯でした」

悪意はない。でも”正しさ”が現場を切り裂きます。

2)社内にマネージャーが薄い=免疫がない

中間層が薄い組織は、外部から異質な価値観が入った瞬間に拒絶反応が出ます。

  • 現場: 「この人、うちのやり方が分かってない」
  • 外部マネ: 「この会社、未熟だな」

このすれ違いが放置されると分断が起き、文化が薄まります。

3)ブランド未確立=上から目線が出やすい

会社の軸(理念・判断基準)が言語化されていないほど、外部人材の”正しさ”が強く見える。結果、支配が起きやすくなります。

だからこそ、求人票や媒体ではなく——
会社の未完成さを前提にした採用設計が必要なのです。

放置すると起きること:退職ドミノ→採用単価上昇→社長依存固定化

50人の壁を放置したときの典型パターンは、驚くほど似ています。

  1. 外部マネが正しさで現場を押す
  2. 古参・エースが冷める(「この会社、変わった」)
  3. 退職が始まる(静かに、でも確実に)
  4. 焦って採用を強化→採用単価が上がる
  5. さらに外部を採る→文化が薄まる
  6. 最終的に社長が背負う→社長依存が固定化する

ここまで来ると、採用は採用活動ではなく止血作業になります。
だからこそ、早い段階で「設計」を変える必要があります。

解決の方向性:理念を飾りから運用へ(経営組織OS化)

50人を超えると、社長の情熱だけでは届きません。必要なのは、経営者の想いを組織が運用できる形に翻訳することです。

想い → 判断基準 → 行動基準 → 育成 → 評価

これが一本でつながった状態を、RECOMOでは「経営組織OS」と呼びます。

採用は、そのOSに合う人だけを迎える行為です。OSが入っていないのに人を増やすと、どれだけ優秀でも事故が起きます。

理念採用を実装する3ステップ(テンプレ付き)

ここからが「再現性のある手順」です。ポイントは、採用を採用で終わらせず、採用を組織開発に変えること

ステップ1:ペルソナではなく「アンチペルソナ」を理念から定義する

多くの会社は「欲しい人材像」から入ります。しかし50人の壁で最も効くのはです。

「絶対に入れてはいけない人」を理念から定義する。
これが文化防衛の最短ルートです。

アンチペルソナ例(そのまま使えます)

  • 正しさで人を支配する人
  • 前職の成功体験を武器にする人(「普通こう」を言う)
  • 他責思考(環境・現場・社長のせい)
  • チームの勝利より、自分の正しさを優先する人

3行テンプレート

私たちが採用で最優先するのは「理念に沿ったスタンス」である

次のタイプは絶対に入れない:____

面接でその兆候が出たら、理由を言語化して見送る

このアンチペルソナがあるだけで、面接官が増えてもブレません。「未完成な会社」であるほど、これが命綱になります。

ステップ2:面接を「ワークセッション」に変える(見抜くのをやめる)

面接は取り繕えます。だから、面接で見抜こうとするほど、採用は運ゲーになります。

おすすめは、1回60分のワークセッションです。

ワークセッション面接の型(60分)

  • 参加: 候補者 × 現場メンバー2名(できれば職種が違う2名)
  • テーマ: 今抱えているリアル課題(守秘に配慮して抽象化でOK)

見る観点(スキルよりスタンス)

  • 未完成な状況を楽しめるか
  • 人をリスペクトして巻き込めるか
  • 正しさで押さず、合意形成できるか
  • 価値観が衝突した時の振る舞い

これが強い理由は2つあります。

  1. 候補者の見極め精度が上がる
  2. 現場が”自分の言葉で会社を語る訓練”になる

つまり採用が同時に組織開発になります。50人の壁では、これが効きます。

ステップ3:「理念フィードバック」を儀式化する(辞退・早期離職が減る)

面接後のフィードバックが雑な会社ほど、文化が崩れます。「良かった」「微妙」「スキルが…」で終わるからです。

理念を使って判断を言語化する。
さらに、それを候補者にも返す。これを”儀式”にします。

理念フィードバック・テンプレート

私たちの理念(判断基準)はこれです:____

今日の対話で、それがこう見えました:____

合う点:____

合わない点(人格ではなく基準の不一致として):____

次のステップ:____

この一手で、候補者側の納得感が上がり、辞退が減ります。そして社内に「理念で判断する習慣」が蓄積され、文化になります。

自己診断:あなたの会社はどこで詰まっているか?(30秒チェック)

当てはまる数を数えてください。

  • 外部マネ採用の評価が「スキル・実績」中心になっている
  • 面接官ごとに合否理由がバラバラ
  • 「うちの価値観」を現場が言語化できない
  • 面接後の振り返りが主観(好き嫌い・雰囲気)になりがち
  • 「普通こうでしょ」が社内で増えている
  • エースの退職が怖くて、意思決定が遅くなっている
  • 採用単価が上がっているのに、質が上がらない
  • 社長が最終判断を全部背負っている
  • 権限委譲が進まず、現場が待ち姿勢になっている
  • 理念はあるが、採用・育成・評価に接続されていない

3つ以上なら、採用の詰まりは採用活動より先に、組織OS側に原因がある可能性が高いです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 50人の壁で採用が急に難しくなるのはなぜ?

求人や媒体の問題ではなく、会社が未完成で変化率が高い状態なのに、スキル中心の採用設計をしてしまうためです。中間層が薄いと拒絶反応も起きやすく、分断が生まれます。

Q2. 外部マネージャー採用で失敗しない方法は?

重要なのは「経験」より「未完成への向き合い方」です。理念を判断基準として運用し、アンチペルソナ定義、ワークセッション面接、理念フィードバックを仕組み化してください。

Q3. 理念採用は、理念が弱い会社でもできますか?

できます。まず「入れてはいけない人(アンチペルソナ)」を3行で定義するところから始めると、最小限の理念運用が立ち上がります。

Q4. 面接をワークセッションに変えると、何が良いのですか?

取り繕いが効きにくく、スタンスが露出します。また現場が自分の言葉で会社を語る訓練になり、採用と組織開発が同時に進みます

まとめ:50人の壁は「採用」ではなく「経営組織OS」の壁

50人の壁で採用が崩れる会社には、明確な共通点があります。

それは、理念を飾りにしたまま、人を増やそうとしていることです。

採用の前に、経営組織OSを整える。理念を判断基準として運用し、現場が自分の言葉で会社を語れる状態をつくる。

その土台があって初めて、採用が「組織を強くする行為」に変わります。

今日から始められる一手は、アンチペルソナを3行で定義すること
ここから、理念採用の実装が始まります。

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