従業員エンゲージメントとは?従業員満足度との違いやエンゲージメントの種類について解説!

従業員エンゲージメントとは

目次

従業員エンゲージメントは、人的資本経営において非常に重要な項目で切っても切り離せません。人的資本の情報開示の義務化によって、エンゲージメントの数値を公表する企業も増えてきました。なんとなくエンゲージメントは重要だとわかっていても、エンゲージメントの正しい意味や種類について答えられない人も多いのではないでしょうか。

本記事では、エンゲージメントの意味や種類の紹介はもちろん、エンゲージメントを高めることで得られる効果やエンゲージメント向上のための具体的なステップについて解説します。

エンゲージメントとは

エンゲージメントの意味

エンゲージメントとは、「強固なつながり」を意味します。例えば、組織開発では従業員エンゲージメントという言葉がよく使われますが、この場合は従業員と会社のつながりをエンゲージメントと呼びます。会社への愛着心や貢献度とも言い換えられます。

もともと、エンゲージメントは英語の”Engagement”からきており、「契約」「誓約」「約束」などの意味を持つ言葉です。2000年以降、日本のビジネスシーンでもエンゲージメントの概念が注目されるようになっています。

エンゲージメントには、従業員エンゲージメントや顧客エンゲージメントなどの様々な種類があり、意味や必要な場面が異なるので注意が必要です。

従業員満足度(ES)との違い

従業員エンゲージメントに似た言葉に従業員満足度(ES)があります。従業員満足度とは、従業員が会社に満足しているかを表す指標です。英語だと、”Employee Satisfaction”なのでESと表記されることもあります。

従業員満足度も従業員エンゲージメントも会社に対してポジティブな印象を表している点では同じですが、異なる意味を持ちます。従業員満足度は、「会社に満足しているかどうか」を表すので従業員の行動に変化が起きない可能性も高いです。一方で、従業員エンゲージメントは「会社への貢献意欲」を表すので、従業員の行動に現れやすいです。

従業員満足度も重要な指標ですが、従業員の行動を促し、業績の向上につなげるのであれば、エンゲージメントを指標にするのが適しているでしょう。

モチベーションとの違い

モチベーションもエンゲージメントと似た言葉として、よく使われます。モチベーションとエンゲージメントは、どちらも行動を起こすための動機になる点は同じです。ただし、視点が異なります。モチベーションは「自分のキャリアアップのために頑張る」「上司に褒められたいから頑張る」など自分視点を中心に使用されることが多い傾向にあります。一方で、エンゲージメントは「会社のミッションを達成したい」「会社の成長に貢献したい」など会社視点になります。

モチベーションとエンゲージメントはどちらも重要な要素ですが、組織として成果を発揮するには個人のモチベーションを尊重しつつ、エンゲージメントも育てていく必要があるでしょう。

エンゲージメントの向上はすぐに結果が出るものではありません。長期的な目線で取り組んでいく必要があります。組織開発に不安がある方は、RECOMOの無料相談をぜひご活用ください。組織開発のプロが貴社の組織状態に合ったご提案を致します。

エンゲージメントの種類

本記事では、従業員エンゲージメントを主に取り上げますが、その他にも様々なエンゲージメントが存在します。それぞれの違いや共通点を確認しておきましょう。

特に、ワークエンゲージメントやパーソナルエンゲージメントは従業員エンゲージメントと同様に組織開発や人材開発において重要な項目です。

以下では、それぞれのエンゲージメントの特徴について解説します。

従業員エンゲージメント

従業員(社員)エンゲージメントとは、会社と従業員との結びつき度合いを意味します。単に仕事をこなすだけでなく、会社のミッション達成や会社の成長のために行動している状態がエンゲージメントが高い状態です。

従業員エンゲージメントを向上させるためには「働きやすさ」「仕事のやりがい」「理念の浸透」の3つの要素をバランスよく醸成する必要があります。どれも一朝一夕で効果がでるものではありませんが、従業員エンゲージメントが高い組織では、離職率が低下し、それぞれの従業員が能力を発揮しやすい環境になるため業績の向上にも寄与します。

人的資本経営に取り組む企業にとって、自社の従業員エンゲージメントの状態を把握することやエンゲージメント向上のために施策を打つことは重要事項と言えるでしょう。

ワークエンゲージメント

ワークエンゲージメントとは、従業員と仕事との結びつき度合いを意味します。ワークエンゲージメントは厚生労働省でも働きやすい環境整備のための重要な項目として紹介されています。

“「ワーク・エンゲイジメント」は、オランダ・ユトレヒト大学のSchaufeli 教授らが提唱した概念であり、「仕事から活力を得ていきいきとしている」(活力)、「仕事に誇りとやりがいを感じている」(熱意)、「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)の3つが揃った状態として定義される。”

引用:厚生労働省 「働きがい」をもって働くことのできる環境の実現に向けて

従業員エンゲージメントと似ていますが、ワークエンゲージメントで重視されるのは会社への愛着心ではなく、個人の仕事へのモチベーションです。

従業員エンゲージメントとワークエンゲージメントのバランスが取れた状態が最も健全な状態と言えるでしょう。

パーソナルエンゲージメント

パーソナルエンゲージメントとは、従業員と従業員の仕事上の役割との結びつき度合いを意味します。ワークエンゲージメントは「仕事全般」に着目しているのに対し、パーソナルエンゲージメントは「仕事上の役割」に着目しているという違いがあります。

例えば、「人と話すのが好きな人が営業を担当する」「もくもくと作業するのが好きな人が事務作業をする」など個人の個性に合った仕事をすることで生産性が上がることは学術調査でも証明されています。

パーソナルエンゲージメントを向上させるには、適切な人材配置が必要です。そのためには、それぞれの従業員の個性を理解しておくことが前提になります。

顧客エンゲージメント

顧客エンゲージメントとは、会社と顧客との結びつき度合いを意味します。主に、マーケティングの現場で使われます。顧客エンゲージメントが高い状態とは、その会社の商品やサービスを継続的に利用してもらえるような状況です。

商品そのものの価値だけでなく、ブランドイメージや顧客との信頼関係も購買に直結します。顧客との距離が近いと新商品のフィードバックが得られやすかったり、自社の魅力を第三者に伝えてくれたりと副次的な効果も期待できます。

組織開発の分野からは外れますが、社外広報の観点では重要な項目です。

従業員エンゲージメントを高めるメリットは?

ここまで、エンゲージメントの意味について説明してきましたが、企業にとって従業員エンゲージメントを高めることで得られる可能性のあるメリットをご紹介します。

メリットには以下のようなものがあります。

①離職防止につながる(人材の定着)
②リファラル採用の成果向上に繋げられる
③組織内の連携が増える
④従業員のモチベーションが向上する
⑤組織内の関係性を把握できる
⑥適切な人材配置が可能になる

①~④は従業員エンゲージメントが高まることで直接的に効果が期待できるメリットで⑤と⑥は従業員エンゲージメントを高める過程で副次的に得られる効果です。

従業員エンゲージメントのメリットは離職防止だけでなく、人材が定着することで組織文化を醸成しやすかったり、優秀な人材が集まりやすくなったりなどの好循環をもたらします。また、従業員エンゲージメントが高い組織では全員が同じ方向(ミッション)にむいているので連携が取りやすく効率的に業務に取り組めるようになります。

次の章では、従業員エンゲージメントを高める手段としてサーベイを紹介しますが、その過程では組織の状態を正確に分析する必要があるため、適切な人材配置が可能になり業務効率化も期待できます。

労働人口が減少する現代だからこそ、貴重な人材の確保や個々の従業員に最大のパフォーマンスを発揮してもらうための環境整備は企業が取り組むべき課題でしょう。

従業員エンゲージメント向上のためには?

従業員エンゲージメント向上のための施策には、エンゲージメントサーベイによる「調査フェーズ」と調査結果からアクションプランを立てて実行する「実行フェーズ」があります。それぞれのフェーズでの実践方法やポイントを紹介します。

エンゲージメントサーベイ(調査フェーズ)

エンゲージメントサーベイとは、「従業員と会社とのつながりの強さ」を数値化する調査ツールです。エンゲージメントサーベイは、半年~1年のスパンで定期的に行うことが多く、調査する項目は企業によって様々ですが、理念の浸透度合いや仕事へのモチベーションなどをアンケート形式で調査します。

エンゲージメントサーベイを行う上で最も重要なポイントは、サーベイの数値の向上自体を目的にしないことです。人的資本の情報開示の指標にも用いられるため、数値も重要ですが、実際には「適切に自社の組織状態を把握できているか」「改善のための具体的なアクションプランが練られ実践されているか」が開示においても重要な項目になってきます。

エンゲージメントサーベイは従業員の協力が必要になります。導入する際は事前に導入のメリットや運用方法を説明し、同意を得てから進めるとスムーズです。エンゲージメントサーベイの運用は自社内で完結することもできますが、集計や運用の手間を考えると外部のサービスを使うのもおすすめです。

アクションプランの策定と実行(実行フェーズ)

従業員エンゲージメント向上のためには、エンゲージメントサーベイで得たデータをどのようにアクションプランに落とし込んで実行するかが重要になります。サーベイをしたまま、何もアクションがない状態だと、かえって不満の温床になる可能性もあるので注意が必要です。

アクションプランの策定と実行で重要なポイントは以下の3つです。

・サーベイの集計に主観が入らないようにする
・適切な人間を議論の場に参加させる
・施策の実行と定期的なフィードバック

まずは、アクションプランの策定の準備としてサーベイで集めたデータを議論しやすいように集計しておきましょう。集計の際には主観が入らないように注意が必要です。

エンゲージメントサーベイで得たデータは、自社の組織状態を客観視するために有益な情報です。組織開発の取り組みの規模感によって誰を議論の場に参加させるかも重要な要素です。組織開発をスムーズ進めるためにも、議論の段階から関係する部署のキーパーソンを巻き込んでおきましょう。

企業によって、「理念の浸透はできているが、働きやすい環境が整備されていない」「個々のスキルは高いが、部署を超えた連携が少ない」など課題は様々です。自社にとって取り組むべき課題を明確化し、設定したアクションプランのフィードバックを定期的に行いながら組織開発に取り組みましょう。

人的資本経営・組織開発ならRECOMO

本記事では、エンゲージメントの意味やエンゲージメントを高めることで得られる効果、エンゲージメント向上のための具体的なステップについて解説しました。

エンゲージメントは、人材の定着や適切な人材配置による業務効率化など企業にとってのメリットはもちろん、従業員にとっても働きやすい職場環境になるメリットがあります。

メリットの多いエンゲージメントですが、継続して運用できるかやサーベイの結果をどのように分析したらよいかなど不安に思う方も多いでしょう。そんな方は組織開発の伴走者として、株式会社RECOMOが提供するRECOMO Xを検討してみてはいかがでしょうか。

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