組織戦略は何から始める?組織戦略の考え方やフレームワークを解説!

組織戦略

目次

経営理念実現のための重要な戦略の1つに組織戦略があります。事業戦略は描けていても、組織戦略までは明確に描けていない企業も多いのではないでしょうか。

組織戦略を策定することで、組織のパフォーマンスを最大限に発揮でき、業績の向上や理念の実現に大きく近づきます。一方で、組織に関する専門家がいないと、どのように組織戦略を立てるべきか、何から始めるべきか、など不安に感じる方もいるでしょう。

そこで今回は、多くの企業様の組織戦略策定に携わってきた株式会社RECOMOが組織戦略の考え方やすぐに実践できるフレームワークなどを解説します。

組織戦略とは?

組織戦略とは、経営理念の実現のために、必要な組織をデザインすることです。優れたビジネスモデルがあったとしても、「人」が関わる以上、組織力が経営理念の実現に大きく影響します。

特に、昨今では労働人口の減少や市場環境の変化によって、競争力を維持するための組織開発の重要性が高まっています。

組織戦略では、経営戦略や事業戦略との連動が求められるので、人事部だけで取り組むのではなく、経営層を含んだ会社全体で取り組むべきでしょう。

戦略と戦術の違い

経営理念がゴールだとすると、戦略はゴールまでの道を描くことで、戦術はゴールまでに立ちふさがる障害を攻略するための作戦を考えることです。

組織の例だと、「採用するために、SNSを活用する」「新人社員にビジネスマナー研修を実施する」などが戦術になります。一方で戦略では、「何人従業員が必要なのか」「どのようなスキルを従業員に身に着けてもらうのか」など、より広い範囲で長期的な目線で考えられます。

組織戦略を立てることによって、組織の進むべき道筋が明確となり、具体的な行動(戦術)に落とし込みやすくなります。

事業戦略や人事戦略との違い

他にも、事業戦略や人事戦略という言葉がありますが、目的を達成するための道筋を考えるという点では共通しているものの、その目的や取り組まれる領域が異なります。

目的領域
組織戦略経営理念の実現組織に関するすべて
事業戦略経営理念の実現事業に関するすべて
人事戦略経営理念の実現に向けた人事部のミッションの実現人事の業務に関するすべて

組織戦略や事業戦略は全社的に広い範囲で取り組まれるのに対し、人事戦略は人事の責任の範囲での取り組みを指している場合が多いです。人事の領域には組織に関することも含まれるので、共通する部分はありますが、そもそもの目的が異なるので区別しましょう。

特に、組織戦略と事業戦略は同じ目的で取り組まれる以上、連動していることが重要です。

組織戦略と事業戦略の連動とは

組織戦略を考える上で、前提となる考え方が「組織は戦略に従う」と「戦略は組織に従う」です。ここで言う戦略は「事業戦略」と捉えましょう。どのような考え方かについて以下で詳しく解説します。

組織は戦略に従う

「組織は戦略に従う」は、事業戦略をもとに組織戦略を考える方法です。経営学者のアルフレッド・チャンドラーによって1962年に提唱されました。

特に、創業期の企業では、組織の成長よりも事業の成長が先行してしまうことが多いですが、事業戦略の実現のためにどのような組織が必要かという視点で組織戦略に落とし込みます。

事業戦略を滞りなく進めるために必要な理想の組織と現在の組織とのギャップを分析し、そのギャップを戦略によって埋めることが現実的に使われる考え方です。

戦略は組織に従う

一方で、「戦略は組織に従う」とは、組織の強みを活かした事業戦略を考えるという方法です。アンゾフのマトリクスで有名なイゴール・アンゾフによって1972年に提唱されました。

チャンドラーの「組織は戦略に従う」の約10年後に提唱された考え方ですが、アンゾフは事業戦略を実現するための理想の組織と現在の組織のギャップが大きい場合は、力量に合わせて事業戦略を修正するべきであることを示しています。

組織の状態によっては、事業戦略を下方修正することもあれば上方修正することもあるでしょう。

「組織は戦略に従う」と「戦略は組織に従う」はどちらが正しいということではありません。どちらも組織戦略と事業戦略の連動の重要性を説いており、正しく組織や事業について分析し、柔軟に修正していくことが重要です。

組織戦略の手法

組織戦略の考え方について解説してきましたが、ここからは具体的にどのような組織戦略があるのかについて解説します。

策定方法は大きくわけると、「トップダウンアプローチ」と「ボトムアップアプローチ」の2つにわかれます。それぞれにメリットとデメリットがあるので、自社にどちらが適しているか検討しましょう。

トップダウンアプローチ

トップダウンアプローチは、経営陣など会社のトップが組織戦略を策定し、従業員に実行させる方法です。経営の経験を積んだ人材が戦略を検討するので、経営の意向を反映して戦略を策定できます。ただし、経営層だけで戦略を検討する場合は、一般論や他社の傾向などの知識に頼った戦略策定が行われ、自社の実情に沿った戦略がおろそかになることがあります。

トップダウンアプローチは、戦略策定までのプロセスがスムーズで、責任範囲が明確なので、問題が発生した場合の処理は迅速に行えます。一方で、すべて上層部で決めてしまうと従業員が自分で考えることをやめてしまい、創造性が低下してしまったり、うまく従業員の同意が得られないと戦略を実行に移すのが難しいというデメリットもあります。

トップダウンアプローチを採用する場合は、戦略が自社の実情にあったものになっているかや、従業員の同意を得られそうかなどの視点を持って取り組みましょう。

ボトムアップアプローチ

ボトムアップアプローチは、従業員の意見をもとに組織戦略を策定する方法です。ボトムアップアプローチでも最終的な意思決定は経営層などの上層部が行いますが、戦略策定の出発点は従業員の意見のため、サーベイや従業員との面談など従業員との対話が重要になります。

ボトムアップアプローチは、従業員の同意を得やすく、組織の実情を考慮しやすいのでスムーズに戦略を実行に移せます。一方で、従業員の意見は短期的な視点であったり、全社視点でないことも多くあります。意思決定者が正しい判断を行わないと、戦略の効果が期待していたものとは大きく乖離したり、全体像が把握しにくい組織体制になってしまう危険性があります。

トップダウンアプローチとボトムアップアプローチのどちらを採用するとしても、両方のメリットデメリットを理解した上で導入するようにしましょう。

組織戦略のフレームワーク

組織戦略の策定の大枠について説明しましたが、続いて、より具体的ですぐに実践できることはないのか、という観点から組織戦略を捉えてみたいと思います。

組織戦略を考える上で、おすすめなのがフレームワークの活用です。特に何から始めたらよいかわからない方にとっては、検討の出発点になるので組織戦略のフレームワークから始めると良いでしょう。

組織戦略に使えるフレームワークには、「マッキンゼーの7S」「PEST分析」「SWOT分析」「PPM分析」などがありますが、ここでは組織改革のフレームワークとして有名なマッキンゼーの7Sについてご紹介します。

マッキンゼーの7S

7Sとは

7Sとは組織改革に取り組む際に、考えるべき7つの項目の英語の頭文字を意味しています。7Sには以下の項目があります。

7つのSどのようなものが含まれるか
戦略(Strategy)目標を達成するために立てられる計画例)事業戦略や組織戦略など
組織(Structure)組織の仕組み例)トップダウン、ボトムアップなど
システム(System)オペレーションの仕組み例)報告のラインや人事評価制度など
人材(Staff)企業内の適切な人材の採用や配置例)従業員が持っている強みなど
経営スタイル(Style)会社の雰囲気例)経営層が持っている思想や企業文化など
組織のノウハウ(Skills)組織が保有しているノウハウ例)技術力やマーケティング力など
価値観(Shared Value)従業員が共通して持っている価値観例)社内でよく出てくるワードや指標など

活用方法

組織の状態を分析するに当たって、それぞれの項目の現状はどうなっているかや改善できるポイントはないかを検討します。

この7つのSはそれぞれ相互作用していますが、黄色で色付しているハードの3Sと青で色付しているソフトの4Sの両方の視点で取り組むことがポイントです。

ハードの3Sは、計画や意思があればすぐに変更できるため、即効性は高いですが形だけで中身が伴わないケースもあるので注意が必要です。一方で、ソフトの4Sは個人の持っている価値観や能力などに関わるので長期的な取り組みにはなりますが、地に足を付けた組織改革を実現できます。

7つの項目をバランスよく育てるとともに、ハードの3Sとソフトの4Sを使い分けて中長期的な目線で組織戦略を考えましょう。

組織戦略のポイント

最後に組織戦略を考えるにあたって重要なポイントを3つご紹介します。

組織の状態を正しく把握する

組織戦略の出発点は、組織の状態を把握することです。前述のフレームワークを活用する方法も良いですが、サーベイを活用する方法も効果的です。組織の状態を表した客観的な数値を用いて議論することで、戦略が主観的なものになってしまうリスクを減らせます。

また、サーベイの中で出てきた不満を解消してあげることで、従業員のモチベーションもあがり、組織戦略を実行しやすくなります。

サーベイについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照下さい。
サーベイフィードバックとは?必要性や組織開発に期待できる効果について解説!

ありたい姿の明確化

戦略は目標を達成するためのものなので、ゴールが明確でない場合は効果を発揮しません。自社がどのような組織を目指しているのかや何を実現させるための組織なのかを明確に思い描くことが戦略策定の前提になります。

また、明確化させるだけでなく、戦略を現場レベルまで浸透させることも重要です。経営層が直接「ありたい姿」を従業員に説明する場を設けたり、自分のこととして捉えてもらうためのワークショップを開催したりと地道な取り組みが必要になります。

適切な人材ポートフォリオの策定

適切な人材ポートフォリオとは、経営理念実現のためにどのようなスキルを持った人材が何人必要なのかを明確にすることです。人材ポートフォリオを定めることによって、採用活動や従業員のリスキル、オンボーディングなど具体的な戦術について検討できます。

人材ポートフォリオを定めたとしても、ソフトの4Sにあたる人材の採用や育成には時間がかかるので、企業規模にもよりますが5~10年の長期的な目線で策定するのがポイントです。

人的資本経営・組織開発ならRECOMO

本記事では、組織戦略の考え方や実践のためのフレームワークについて紹介しました。

組織戦略を考えることによって、自社が目指している事業戦略や経営理念を実現できます。組織戦略は事業戦略と連動して考えることで効果を発揮します。特に、事業は順調だけど組織の成長が追いついていないと悩んでいる方は、一度組織戦略について見直してみるのがおすすめです。

組織戦略の策定が不安な方は組織開発の伴走者として、株式会社RECOMOが提供するRECOMO Xを検討してみてはいかがでしょうか。

株式会社RECOMOは理念から丁寧に組織開発を伴走することで事業の成長を後押しする会社です。「人の可能性・価値を最大に広げる社会を創る」をミッションとして掲げ、事業を伸ばすために、現状の組織の分析から戦略策定、自走化まで組織開発の取り組みを支援するサービスがRECOMO Xです。

具体的には、以下のようなサービスを提供しています。

・経営者が取り組む本質的な課題の可視化
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株式会社RECOMOでは、無料相談も受け付けています。現状の組織課題をヒアリングさせて頂き、最も効果的なご提案をご用意致します。組織戦略で考えるべき領域は多岐に渡るため、外部のパートナーも上手く使いながら、成果に繋がる組織開発に取り組みましょう。

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