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10人を超えたあたりから、会社の動きが鈍くなった。
意思決定が遅い。会議が長い。幹部が育たない。社長の負荷だけが増える。
なのに、採用も評価制度も、研修もやっている——。
この状態、珍しくありません。むしろ成長企業ほど、必ず一度ぶつかります。
そして多くの会社が、原因をこう捉えます。
- 人が足りない
- 仕組みがない
- 幹部の能力が足りない
- 会議が下手だ
…でも、現場で起きている“詰まり”の正体は、そこではないことが多い。
結論から言うと、10人の壁の正体はこれです。
「経営チームが存在していない」
つまり、経営が“一人用のまま”会社だけが拡大している状態。
この記事では、経営チームを「役職」ではなく「意思決定構造」として捉え直し、今日から設計できる具体策まで落とし込みます。
まず確認:あなたの会社は“この症状”ありませんか?
10人の壁で詰まる会社には、かなり共通した症状があります。
- 幹部っぽい人はいるが、結局「最後は社長が決める」
- 戦略の話をすると、会話がいつも「現場の話」に戻ってしまう
- 社長だけが半年後・1年後を考え、他は「今月の数字」だけを見ている
- 会議が“売上・クレーム・トラブル処理”で終わり、未来が一度も決まらない
- 社長判断待ちが増え、スピードが落ちる(全部が渋滞する)
もし2つ以上当てはまるなら、問題は「人」ではなく「構造」にあります。
経営チームとは何か?
ここが一番重要なので、ハッキリ定義します。
経営チームとは、
- 仲の良い幹部ではない
- 役職者の集まりではない
- 社長の相談相手でもない
経営チームは、こうです。
「会社の未来を、社長と同じ解像度で背負い、“決める”ための意思決定装置」
ポイントは“人”ではなく“装置”であること。
意思決定装置とは、要するに 「誰が」「何を」「どの時間軸で」「どう決めるか」 が設計されている状態です。
この装置がない会社はどうなるか。
答えは簡単で、社長が全部決めます。
創業期はそれで勝てる。だから更新されない。
そして10人を超えた瞬間から、決める量が爆増し、社長がボトルネックになります。
なぜ経営チームは“自然発生”しないのか?3つの落とし穴
経営チームができない理由は、能力不足ではなく“罠”です。
1)創業期は「社長=経営チーム」で成立してしまう
創業期は、社長の頭の中に戦略も基準も全部入っている。
だから「チームがなくても回ってしまう」。
回るから、構造改革が後回しになる。
2)優秀なプレイヤーを“経営側”に引き上げてしまう
仕事ができる=経営者視点がある、ではありません。
実務遂行と、未来の判断設計は別競技です。
ここを混同すると、役職者は増えても、経営チームは生まれません。
3)「話し合っている=経営チーム」と勘違いする
会議があることと、意思決定が起きていることは別です。
会議が“報告と処理”で終わるなら、それは業務会議。
経営の前進(未来の意思決定)が一切起きません。
放置するとどうなる?(10人の壁が“致命傷”になる瞬間)
この構造を放置したまま成長すると、次が起きます。
- 判断待ちが増え、全てが遅くなる
- 幹部が指示待ち化する(自分で決めない)
- 社長が裁判官になる(全部を裁く)
- 未来の議論ができず、戦略が更新されない
- 組織が“社長依存構造”として固定される
最も怖いのは、ここです。
会社は大きくなるのに、経営だけが一人用のまま。
この組み合わせは、ほぼ確実にどこかで折れます。
解決策は3つ。経営チームは「作らないと存在しない」
ここからが本題です。
RECOMOが推奨する“経営チームの作り方”は、精神論ではありません。構造の設計です。
解決策①:経営テーマ分割制(役職ではなく“責任領域”で割る)
まず社長の頭の中にある経営テーマを、人に割り当てます。
- 売上(成長戦略)
- 採用(採用戦略)
- 育成(育成設計)
- 文化(文化定義)
- 財務(キャッシュ設計)
ここで重要なのは、「実務担当」にしないこと。
“未来の責任者”にすることです。
例:
Aさん=採用“戦略”責任者(採用手法の運用係ではない)
Bさん=育成“設計”責任者(研修実行係ではない)
Cさん=文化“定義”責任者(イベント係ではない)
この瞬間から、経営は属人化を解き始めます。
解決策②:未来会議の分離(経営会議と業務会議を混ぜない)
ほとんどの会社の会議が詰まる原因は、これです。
“未来を決める時間”が、処理で溶ける。
だから会議を分けます。
- 業務会議:今週の案件・トラブル・進捗を処理する
- 未来会議:半年後・1年後の意思決定だけをする
未来会議のルールはシンプルでいい。
「未来の議題以外、持ち込まない」
このルールがあるだけで、会議の質は別物になります。
解決策③:経営者視点のインストール(教育ではなくOS更新)
経営視点は“自然に身につく”ものではありません。
意図的にインストールが必要です。
おすすめは次の3つ。
- 数字を読ませる(PLを“説明”させる)
- 戦略を言語化させる(なぜ今それをやるのか)
- 「社長ならどう決める?」を習慣化する(判断基準を揃える)
これは研修というより、思考OSの強制アップデートです。
ここを避けると、経営チームは一生生まれません。
明日からできる実装手順(7日で“意思決定装置”を動かす)
難しく考えなくて大丈夫です。やることは順番だけ。
Day1:経営テーマを棚卸しする
「売上・採用・育成・文化・財務」など、社長が背負っているテーマを10個以内に整理。
Day2:テーマを“責任領域”として割り当てる
役職名ではなく、責任領域として任命する。
「運用」ではなく「未来の責任」を渡す。
Day3:未来会議をカレンダーに固定する(週1でもOK)
議題テンプレはこれだけでいいです。
- 6〜12ヶ月先で詰まりそうなポイントは?
- それを外すために、今月何を決める?
- その決定を阻む“前提”は何?捨てるなら何?
Day4〜7:各責任者が「判断」を持ってくる
報告ではなく、“意思決定案”を持ってくるルールに変える。
社長は「答えを出す人」から「判断の基準を揃える人」へ役割転換する。
——ここまでくると、会社のスピードが戻り始めます。
そして何より、社長の脳内だけにあった経営が、チームに複製され始めます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 役員がいません。誰を経営テーマの責任者にすればいいですか?
役員かどうかは関係ありません。必要なのは「未来の責任を背負える設計」。
最初は“暫定責任者”でOKです。重要なのは責任領域が空白のままにならないこと。
Q2. 幹部が現場の話しかしません。未来会議が成立しないのですが…
成立しないのは能力ではなく、会議設計の問題です。
「未来の議題以外持ち込まない」ルール+議題テンプレ(詰まり予測→今月の決定→捨てる前提)を固定すると、会話の軸が変わります。
Q3. 経営テーマ分割制をやると、社内が混乱しませんか?
混乱します。最初は。
でもそれは健全な混乱です。属人化が剥がれる時に必ず起きる摩擦。
むしろ混乱がゼロのままだと、経営は一人用から変わっていません。
まず“可視化”しませんか?(診断・資料DLへの自然導線)
ここまで読んで、「うちも近いかも…」と感じたなら、やるべきことは一つです。
いきなり制度を作る前に、採用を増やす前に、まず “詰まりの場所”を特定してください。
RECOMOでは、10人の壁で詰まりやすいポイントを 「経営チーム=意思決定装置」 という観点から整理し、現状を可視化するための
- 経営チーム診断(現状の構造チェック)
を用意しています。
「人の問題」に見えているものが、実は「構造の問題」だった。
この気づきが出た瞬間から、打ち手の精度が一段上がります。
次に詰まる場所を外すと、成長は止まりません。
まずは現状の可視化から始めてください。