「人事だけ」ではない多面的強みが信頼関係を築けた鍵〜ミッション・バリューの策定と評価制度構築の心強いパートナー〜

ミテネインターネット株式会社

従業員数約20名

業種通信業

創業年2002年

目次

福井県と東京都それぞれに拠点を構え、主に法人を対象としたインターネット回線サービス事業、データセンター事業などを手掛けているミテネインターネット株式会社。

元々はグループの商社である三谷商事株式会社の社内新規事業から派生し、2002年に分社化、設立された企業です。創業以来黒字経営を続けている同社ですが、これまでの基盤を活かしてさらなる成長を目指し経営体制が見直され、2022年6月に取締役として小澤 智哉さんが就任されました。

特に組織変革の必要性を感じていたことから、2023年1月より人事戦略策定のためのコンサルティングサービス「RECOMO X」を導入。今回は、導入前の課題や具体的な支援内容、そして今後の展望を小澤さんにお伺いしました。
(なお、小澤さんは、インタビュー日時点では取締役でしたが、2024年6月6日付で代表取締役にご就任されています)

導入前の課題

アイデンティティの創造こそが企業成長の要

―はじめに、ミテネインターネット株式会社の取締役就任に至るまでの小澤さんのキャリアについて教えてください。

新卒で三谷商事株式会社に入社し、法人向けのシステム営業に従事した後、M&A専門部署へ異動しました。自身がM&Aのニーズを掘り起こす段階から、交渉、そしてクロージングまでを担当し、M&Aを実行した、歌詞検索サービス「歌ネット」を営む株式会社ページワンへ代表取締役として出向し、現在はミテネインターネット株式会社(以下、ミテネ)の取締役も兼務しています。

ミテネは安定的に黒字経営を続けてきていたものの、旧態依然とした事業構造などを見直し、”安定”した企業ではなく、”成長”する企業にすることが自分に求められているミッションだと捉えています。

ーご就任後、どのような課題を感じましたか?

元々三谷商事のグループ会社だったこともあり、どのような事業をしている会社かはなんとなく知っていましたが、実際に入ってから社員にアンケートを取ったり話を聞く中で大きく感じた課題がありました。それは、「自分たちは何者か、という共通認識がない」ということでした。私は事業承継の経験の中で学んだこととして、核となる自社のサービスに自信や信念をもち、”自分たちは何者か”というアイデンティティを持つことが、会社と社員にとって非常に重要であると考えていました。だからこそ、それを見失っている状態は、企業にとって致命的だと思いました。

そのような観点でミッション・ビジョン・バリューなどの理念やミテネのカルチャーを明文化する必要がある、と真っ先に決めました。また、それと連動する人事戦略も必要だと考えていました。一方で、自分は人事の専門家でもないですし、他にも多くのやるべきことがある中で、客観的な視点を持つプロを巻き込んで実施したいと思い、社外の人事の方や評価制度のサービスを提供している会社などに話を聞き始めました。

ーRECOMO Xの導入に至った理由はなんだったのでしょうか?

人事サービスのリサーチをする中でRECOMO代表の橋本さんと知り合いました。SNSで共通の知人がいたこともあり、人事や理念を中心とした会社作りについてよく発信している人だと認識はしていました。実際に話をして、これまでの実績と弊社事業内容との親和性もあったことも安心するポイントではありました。依頼するにあたって「人事」だけを切り取られてしまうようでは困るんですよね。その点、経営や事業の観点も理解が深く、そして今私が最も必要としている会社のアイデンティティを創るという点で、相性が良いと考え、導入を決めました。

具体的なご支援内容

自社に合った最適な体制で信頼関係を築きながら進めたMV策定と人事評価制度の再構築

―具体的なRECOMO Xの支援内容について教えてください。

導入の目的は前述の通りまずはカルチャーの明文化と、それと連動した人事評価制度の再設計ですが、RECOMOとのプロジェクトでは、すぐにその策定に取り掛かることはありませんでした。まず、現状の経営の状態や課題感の共有から始まり、その後1,3,5,10年後の会社の「ありたい姿」について対話を重ねながら、未来の設計図を立てていくような工程がありました。

私小澤の価値観や考え方を深掘るような対話機会もありましたし、その他にも社内の各部署のリーダー層のメンバーとも話してもらい、社員・会社の価値観も対話を重ねて言語化していく、というプロセスを経ていきました。

正直なところ、すぐに策定に取りかからずに現状理解や未来のありたい姿の対話を重ねている時は多少もどかしい気持ちもありました。ですが今となっては、長くお付き合いしていくことを考えると、高く飛ぶための踏み込みだったんだなと感じています。

特に経営の未来設計図(参考:以下サンプルイメージ図)を書き出していくプロセスは、私自身とても大きな意義を感じています。その当時は事業の解像度が低く、未来の戦略を描くことに苦戦しました。

画像は未来設計図のサンプルイメージであり、記載内容は同社実施のものと異なります

事業責任を担う者として事業を伸ばすことが一番大事ではあるのですが、そもそも自社のカルチャーを明文化としないと事業推進の軸が定まらないと思っていたので、RECOMOと一緒に「ありたい姿から逆算していく」という考え方を大切にしながら、中長期視点で経営を捉えた時間はとても貴重でした。

ーカルチャーや経営について対話を深めていくことができたポイントはどこにあったと思いますか?

体制の話にはなりますが、プロジェクトでは橋本さんがオーナーとして担当し、コンサルタントは別の方に担当頂いておりました。次第にコンサルタントの方が中心となってプロジェクトが進行していくのですが、その頃からいい意味で印象が大きく変わりました。

コンサルタントの方は事業会社で人事や広報なども管掌する役員のご経験を有する方なのですが、橋本さんとは異なる経歴や視点を持っていたので、今回のプロジェクトではその方の力が発揮され非常に心強かったです。

導入のきっかけこそ橋本さんでしたが、プロジェクトを進めていくうちに、発注時の属人的な理由から離れて、RECOMOの思想として軸のあるサービスを提供されていることや、自社に合ったコンサルタントをアサインしてもらえていると実感しました。

このような経緯と体制の中でRECOMOと一緒に魂を込めてカルチャーの明文化に取り組めたことは本当によかったです。最終的に本当にミテネらしいミッションとバリュー(以下、MV)に落とし込むことができたと思っています。

画像はミテネインターネット様の採用サイトより許可を頂き転載

―MVの策定後はどのようにプロジェクトが進みましたか?

実はミテネに参画した初期段階から人事評価制度を作ることを決めていたわけではなく、2つの方向性の選択肢で悩んでいました。一つは、この明文化したMVを基準としたハイクラス採用を行うことでトップラインを引き上げながら企業文化を変えていく戦略。もう一つは、現状の評価制度を再構築し、適切な運用をしていくことで社内の企業文化をありたい姿へ導く戦略です。結論として、人事評価制度の再構築を選択しました。弊社の社風的にも、どんどんトップラインを伸ばしていくよりも堅実に固めていく方が、組織が一枚岩になっていくイメージがあったからです。実際、既存の人事評価制度は課題感も多く、社員の納得感も得られていない実感があったので、これを機に再構築するにはいい機会だったと感じています。こうして2023年夏頃から人事制度再構築のプロジェクトを開始しました。

―人事評価制度にはどのような課題を感じていたのでしょうか。また、課題に対してどのような支援がありましたか。

評価の基準や管理方法など運用が定まっておりませんでしたので、統一した基準とルールに基づいて納得感や根拠のある制度にしていくことで、評価の不満を出にくくすることが重要だと思っていました。

それは大前提としつつ、①等級制度 ②評価制度 ③報酬制度 の3つそれぞれに対して大きくテコ入れをしていきました。細かい点まであげるとキリがないのですが、RECOMOが支援してくれた大きな改善ポイントは以下の通りです。

①等級制度
・ありたい姿から逆算する形で改めて等級ごとに求められる役割を再定義し、そこにMVを基準とした行動や考え方を反映
・それぞれの強みを活かしながら適正に評価される仕組みとして、キャリアパスの選択ができるようコースを整備

②評価制度
・ほぼ成果評価のみの評価になっていたため、等級ごとに求められる役割やMVに即した行動評価を追加し、行動やプロセスも評価ができるように変更
・「全社目標・部門目標・上司からの期待」の共通認識をもつことで、個人の目標と全社視点を結びつけるように設計

③報酬制度
・従来の日本企業らしい年功序列型である基本給の構成(基本給の構成の中でも年齢に応じた給与の割合が大きかった)を見直し。ただし、長く働いている社員は会社の財産でもあることから、勤続年数に応じた給与という形に変更しながらもこの特徴の一部を継続

このような支援を通じ、この2024年4月に新制度を社内で発表し、現在全社で試運用をスタートしたところです。

RECOMOには引き続き評価制度の運用のオンボーディングについても支援してもらっています。目標設定時・評価時に上司や部署ごとにばらつきがないか、中間面談で適切に軌道修正ができるか、評価者のフィードバック・フィードフォワードの研修など、支援を受けながら今後も適切な運用を継続し、必要があれば制度面も適宜修正していくような動きを行なっていく予定です。

導入後の変化と今後の展望

「ありたい姿」から考えることが習慣に。羅針盤を得て、主体的で自律的な組織を目指して

―RECOMO Xの導入を経てよかった点や、変化などがあれば教えてください。

RECOMOと一緒にやっていて特によかったことは、自分以外の社員を適切に巻き込めることです。社員の意見を聞き、取り入れながら進めていくことで、会社の方向性に共感や納得感を持ってもらいやすくなったと思います。企業文化を変えていくには自分一人ではなかなかできることではありませんので、ついてきてくれる人がいるというのはとても心強いですし、弊社にも合う進め方でした。

また、RECOMOというパートナーがいたことで、私自身他に経営に必要なことに集中できる時間が増えたことも、会社として非常に大きな利点でした。

私自身の一番の変化としては、「ありたい姿」を常に考える習慣を得られたことですね。やってきていなかったんだな、と改めて考えさせられることも多かったです。この習慣から、経営として発信する内容も変化していきました。何か社員に向けて発信する時は、その目的を長期視点で伝えたり、それがバリューでありミッションに繋がっていると、より具体的に説明ができるようになりました。

社員からもミッションやバリューについて発言が出てくる機会が増えてきたことは最も嬉しい変化です。ですが、まだまだ道半ばだと思っているので、今後もっとカルチャーとして育んでいかなければならないと思っています。

MVや人事評価制度は社員が自律的に働くための羅針盤のようなものなので、これらを軸に迷うことなく「ミテネがありたい将来はこうで、こういった価値観を持っているから評価はこうで、このように行動していきましょう」という発言や行動が増え、主体的、自律的に成長できる組織にしていきたいと考えています。

最後に、今後の会社の展望を教えてください

私にとって、ミテネの経営は「地方の中小企業が持続的に成長する」ということに対するチャレンジでもあると捉えています。

特徴のある商品がない、人手が足りないがなかなか採用ができない、システム投資をしたいがどの商品も当社には合わない、良くないとわかってはいるが仕事が俗人化してしまう、、、など悩みは尽きません。

リソースが限られる中でも、現状を分析し、自分たちの強み・特徴・付加価値をひねり出し、目標を設定し進捗していかなければなりません。カルチャーの明文化は自律的な組織づくりの第一歩だと考えてきたため、このプロジェクトを通じて、今ミテネはようやくスタートラインに立てていると感じています。数年後、RECOMOと作ったMVは良い投資だったと振り返りたいと思います。

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