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近年、「パーパス経営」という言葉を目にする機会が増えた方は多いことと思います。
環境に関わる問題や、差別、労働問題など、さまざまな社会課題が顕在化していることがその一因です。そのため「ただお金を稼ぐ」企業よりもむしろ、「働くことで課題解決など、社会に貢献する」企業の方が、支持を受ける傾向にあります。
この記事では、会社の経営におけるパーパスはどのように作っていけばいいのか? を解説します。
パーパスとは
そもそも、「パーパス」という言葉に耳慣れない方も多いかもしれません。
会社経営におけるパーパスとは、企業や組織・事業の存在する理由や意義を指します。「なぜ・何のために自分 たちの企業があり、事業があるのか。社会の何の課題を解決しようとしているのか」を言語化したものと言い換えることもできます。
会社や事業を成長させ、思いや願いを成し遂げるためにも、パーパスの策定は必須だといえます。
会社のパーパスを決めるときに大切なこと
必要や大切さを知ったとしても、実際決める段になると「何をしたらいいんだろう?」と手が止まってしまう方も少なくありません。
パーパスを決めていく上で大切になるのは以下の5つです。
- 経営者の原体験を深掘る
- 社会の状況・課題をつかむ
- 目指したい未来を描く
- 現在の事業・組織と紐づける
- 語れる・響く言葉を選ぶ
これらについて、ここから詳しく解説します。
1、経営者の原体験を深掘る
原体験とは、人の生き方や考え方に大きな影響を与えてきた、その人自身の体験のことです。原体験の深掘りをすることで、パーパスが経営者にとって実感のこもった言葉として決まりやすくなります。
そもそもパーパスとは、先ほども述べたように「会社や事業が、この世界に存在する意義」を言葉にしたものです。その存在する意義を、経営者本人にとって実感のともなった、心の底から思っていることを言葉で表せているかが重要となります。
心から湧き上がる思いが言葉となり、パーパスの礎となっていくことで、決めたパーパスが経営者本人にとって「自分ごと」として捉えやすくなるのです。また、そうすることで会社や事業を組織で行っていく上でパーパスが「自分たちのこと」となりやすくなります。
このとき大切なのは、きれいな言葉にしようとするのではなく、経営者自身の思いを洗わせているかということです。言葉を取り繕うあまり本人にとって「自分ごと」でなくなってしまうと、組織全体で共有した際に「自分たちのこと」として捉えられづらくなってしまいやすくなります。
経営者自身の原体験を深掘りすることで、本人も気がついていないような価値観や固定観念が言語化される場合があります。言葉選び一つとっても、原体験が及ぼす影響はとても大きいです。
2、社会の状況・課題をつかむ
原体験を元に「理想の社会」を言語化できたとき、今の社会との関連性を考えることも重要となります。
自分にとって今の社会で放っておきたくないことや目を瞑ってしまいたくないものなどを思い起こしてみてください。このとき、誰かに共感してもらおうとする必要はなく、自分にとって「ここは譲れない」と思えることが大切です。
「どんな社会課題を解決したいですか?」と言われてもピンとこない場合、「目指したい未来」を考えてそこから現在との差を探してみると、言葉にしやすくなるかもしれません。
3、目指したい未来を描く
ここまでの2つを踏まえて「では、どんな未来を描きたいか?」を描いてみます。
「目指したい未来」を描くことは得意な人と苦手な人とが大きく分かれることです。ただこれは経営者のみが行うことのできることでもあります。
10年後、30年後、100年後、どんな社会であってほしいか?どのようになっていたいか?をぼんやりと見えないままにしておくのではなく、決めていくことが重要となります。
経営者自身が未来を描きパーパスを作ることで、会社や事業に関わる人も未来をみることができます。そうすることで、組織が柔軟に変化していくことができ、事業や会社の器をより大きくすることができるといいます。
4、現在の事業・組織と紐づける
目指したい未来をもとに、実現のために「いま、どうなのか?」とリンクさせていきます。
描く未来と現実との距離を見定め、理想やなしたい世界を「絵空事で終わらせない」必要があるためです。
具体的に、そのための方法は2つあるといえます。
1つ目は現時点の事業や組織から積み上げること。2つ目は一度、今の事業や組織を手放してみることです。
このうち2つ目の「手放す」という選択肢は取ることが難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。
一時的に大きく痛みを伴うので、さっと手に取ることが難しい方法です。ただ、目指す方向へ最短距離で向かっていくために、「本当に必要なこと」を限られたリソースの中で行なっていく必要があります。
5、語れる&響く言葉を選ぶ
原体験をもとに叶えたい未来を描き、今とリンクさせ、経営者自身の中で納得感を持てた上で必要なのは「人に伝える」ことです。
このとき、自分では理解できているため「話したつもり」になってしまうこともあるといいます。
パーパスを作る上で礎となるのは経営者の原体験です。そのため、経営者自身にとっては実感を伴う言葉となっています。しかし、パーパスを体現しともに事業を進めていく仲間や社外の人はとうぜん「同じ原体験」をもっていません。
一方で、通じやすい わかりやすい言葉にしすぎてしまうのも考えものです。伝わりやすさを重視するあまり言葉を整えすぎてしまうと、自分の経験や思いから生まれた言葉とも言いきれなくなってしまうおそれがあります。
自分自身が繰り返し語れる言葉であるか?毎日口に出せるものになっているか?を考えてみることが必要になります。
パーパスを決め、事業で願いを叶える会社へ
自分の仕事に社会的意義を感じたい。そう思う人は決して少なくありません。今後も増え続けるでしょう。
会社や事業を推し進める上で、パーパスの策定はますます重要となってきます。
思いをもって組織で成し遂げるためにも、時間をとって考える十分な価値がある箇所です。
RECOMOが注目している 日本でパーパス経営を推進している事例
日本でもソニーやピジョン、SmartHR、キャディなどパーパス経営を推進して、強い組織づくりに成功して、高い成果を出している企業がいくつもあります。
こちらの記事でそうした事例も紹介しています。