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2022年10月13日に弊社株式会社RECOMO主催にて【圧倒的な企業成長をもたらす人的資本経営に必要な2つの視点】というテーマで経営層向けのセミナーを開催しました。登壇者は弊社代表・橋本と、弊社スペシャリストパートナー・大久保です。
今回のセミナーは、2020年・2022年で経済産業省から出された「人材版伊藤レポート」で語られていることを元に人材や組織に関する変革のポイントを整理したのち、「経営」と「人事」という二つの視点から人的資本経営の実践ののためにまず取り組むべきことについてお話致しました。
約1時間という短い時間の中ではございましたが、参加者の方々も交えて実際に起きている組織課題について議論をするなど、密度の濃いセミナーになりました。本記事では、その概略のレポートと人的資本経営実践のための取り組みについて一部抜粋してご紹介いたします。
セミナーのアジェンダ
Part1:「人材版伊藤レポート」をどのように捉えたか
Part2:経営から見た人事・人事から見た経営の実状
Part3:人的資本経営のために何から取り組むべきか
Part4:質疑応答
「人材版伊藤レポート」をどのように捉えたか
スキルマトリクス明示に触れた2020年の「人材版伊藤レポート」から2年たった2022年、第2段として「人材版伊藤レポート2.0」が公開されました。
人材版伊藤レポート2.0では、人的資本経営の実現に向け、企業は経営戦略と人材戦略を連動させるべきである、と結論づけており、そのためにどんな変革が必要で、具体的にどんな施策を行えば良いか、という点が示されています。
セミナーでは企業の変革のポイントである6つの観点について語られましたが、中でも強く語られていたのは以下の3点です。
①人材マネジメントの目的
人材マネジメントの目的が、オペレーション志向で人をコストとして捉える「人的資源・管理」から、クリエーション志向で人を投資として捉える「人的資本・価値創造」へ変化していきます。
②アクション
具体的なアクションが、人事諸制度の運用・改善が目的であり、経営戦略と連動していない「人事」から、持続的な企業価値の向上が目的であり、経営戦略から落とし込んで策定していく「人材戦略」へ変化していきます。
③イニシアチブ
人材関係は人事部門任せで、経営戦略から切り離されている「人事部」がイニシアチブを握る体制から、経営陣がイニシアチブを握り経営戦略と紐づけていく体制へと変化していきます。
これら全ての変革のポイントに通ずる考えが「ビジネスモデル・経営戦略と人材戦略がきちんと連動しているか」という点です。
これを実現するためには、人事が経営について深く理解する必要があり、これまでよりも幅広い知識やスキルが求められることになります。
経営者が実践すべき2つのポイント
セミナーでは冒頭、経営から見た人事・人事からみた経営の実情についての話が展開されました。
その中で経営戦略と人事戦略の連動の難しさの話になり、特に人事が経営を深く理解することの難しさが大きな課題であると認識されました。
今回は人事が経営について深く理解するために必要なポイントを2点、レポートします。
①経営に意識的に人事を巻き込んでいく
経営者は人事のことは人事に任せる、と切り分けることをやめましょう。人事領域のことにも自ら関心を持つようにし、かつ事業のことも人事にオープンにします。固定観念も捨てて、経営に人事を巻き込んでいく意識を持つことが大切です。
②CHROを登用する
経営にも人事にも精通しているCHROを配置することで、人事と経営の結節点を作ることが出来ます。人や組織について、人事部だけで考えるのではなく、経営層全体で考えていくきっかけにもなります。
日本政府が個人のリスキルを支援することで、企業間の移動を推進する方向性を打ち出していることからも、今後、優秀な人材は自らの意思で会社を選べるようになっていくことが想定されます。経営にとって人事は自分ごとであり、人事にとっても経営を自分ごとと捉え、会社全体として人に選ばれる意識を持ち、人を重要視していくことが、衰退せず生き残っていくために必要です。
選ばれる企業になるために、何から取り組むべきか
では人的資本経営のために何から取り組むべきか、という話を展開していく中で、選ばれる企業になるためには、パーパスを明確にする必要がある、という点に特に着目しました。経営層にパーパスの重要性を感じて貰うには何をしたら良いか、という観点からいくつかの話をしましたが、そのうちの2つの方法をピックアップして紹介します。
①経営チームの考え方が揃っているかを確認する
経営メンバー1人1人に下記の質問に答えてもらうことで、経営チームが同じ方向を向いて進むことが出来ているのかが確認できます。
・自分たちは何者か?
・どこに向かっているか?
・どうありたいか?
経営チームの考え方が揃っていないのであれば、今一度会社の「パーパス」を見直し、向かうべき方向性を決めていく必要があります。
②採用にもパーパスを積極的に活かしていく
ただ単に求人募集をするだけではなく、「当社は人に対してこういう考えを持っています。だから採用活動ではこの点を重視しており、入社後にはこういったオンボーディングを行っています」という、パーパスに基づいた会社の考え方を提示することで、求職者にその会社で働く内的報酬が伝わり、格段に採用しやすくなります。
目に見えて採用がうまく行くようになると、経営者の意識も「パーパスが重要である」という点に向くようになるでしょう。
編集後記
今回のセミナーでは、経営と人事の関係や、選ばれる企業になることについてお話しました。後半は参加者の方も交え双方向のやり取りもあり、経営と人事に関するリアルな声を聞くことが出来ました。
経営と人事が立場や部門の垣根を超えて人や組織に向き合うことは、決して簡単なことではないでしょう。ただ、両者がパーパスを軸に同じ方向性を向いていれば、少しずつでも状況は変わってくるはずです。
ぜひ時代の変化に負けず選ばれる企業になるために、自社のパーパスを一度振り返って見て頂ければと思います。
人的資本経営や伊藤レポートについて知りたい方は、こちらの記事もご参照下さい。
「人的資本経営の実践と開示の必要性を経済界の動向と企業事例から解説!」
「人材版伊藤レポートとは?経営に直結する人材戦略を徹底解説!」
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登壇者プロフィール
株式会社RECOMO 代表取締役CEO
橋本 祐造
1978年生まれ。2002年に早稲田大学卒業後、NHKに入局、営業職として従事。その後、人材コンサルティング会社を経て、GMOインターネット株式会社で人事として活躍。以来、複数社で人事責任者として全社の人事戦略の策定や実行に携わる。2019年4月に株式会社RECOMOを創業。「人の可能性・価値を最大に広げる社会を創ること」を理念に掲げる。