目次
「社員が30人を超えてきたあたりから、
なんとなく“全部を把握できていた感じ”が消えてきた。」
・全員の顔と名前は一致して、性格は分かる
・でも、今誰が何をしているのかまで追えない
・気づいたら、現場で起きていることを“後追いで知る”
こんな感覚が出てきていたら、いままさに 「30名の壁」 に差し掛かっているのかもしれません。
多くの中小企業・スタートアップ企業は、この30名付近で一度つまずきます。
売上は伸びている。案件もある。仲間も集まってきた。
それなのに、
- ミスやトラブルが増える
- 連携のズレで、お客様への迷惑が増える
- 社内に「不満」や「温度差」がジワジワ広がる
これは 社長のマネジメント能力の問題ではなく、組織の“OS設計”の問題 です。
30名の壁が起きる「構造的な理由」
1. 社長依存の限界が、ちょうど30名付近で来る
20名くらいまでは、社長の思考と感覚で会社が回ります。
- 社長が採用の最終判断をする
- 評価も、なんとなく「全部見えている」からできる
- 現場に入れば、だいたいの状況はわかる
しかし、30名近くになるとこうなります。
- 毎日、打ち合わせとSlack・チャットの返信で1日が埋め尽くされる
- 社長が“ボトルネック”になっている感覚が出てくる
- 現場からの「社長に確認待ち」が詰まり始める
問題は、社長の能力ではありません。
「社長1人の頭を、会社全体のOSとして使える人数の限界」が近づいているだけです。
2. 属人化したオペレーションが、いっせいに“ほころび始める”
30名手前の組織は、たいていこんな状態です。
- 「◯◯さんに聞けば分かる」
- 「あの案件は△△さんが一番詳しい」
- 手順書やマニュアルより、“人にひもづいた暗黙知”で回っている
人数が少ないうちは、これはこれで速くて強い。
しかし人数が増えると、
- その人が忙しいと、全体が止まる
- 異動・退職・産休で、一気に業務が揺らぐ
- 教育コストが爆発する
つまり 「人に依存した運営」から、「仕組みに依存した運営」への転換 が求められるタイミングが、ちょうど30名前後なのです。
3. 採用・育成・管理が“気合い”で回らなくなる
20名までは、こういう状態です。
- 社長が採用面接で“直感採用”しても、なんとかなる
- 育成もOJT中心、「横に座って教える」で回る
- 管理は「毎日顔を合わせる」ことで、なんとなくできる
しかし30名を超えると、
- 一人ひとりの状況が“感覚”では追えない
- 誰をどのポジションに配置すべきか、判断が難しくなる
- 「がんばってるかどうか」が見えなくなる
ここから先は、気合いや気持ちだけでのマネジメントに限界が来る。
これが、30名の壁の正体です。
30名を超えると必ず必要になる3つの仕組み
では、この壁を越えるために何が必要なのか?
RECOMOでは、次の3つを「30名の壁を突破する最低条件」と定義しています。
① 経営チーム(幹部)の明確化
ここから先は、「社長+右腕1人」では持ちません。
- 事業責任者クラス
- 管理部門の核になる人材
- 採用・人事を担う人材
少なくとも、“経営会議で同じテーブルにつくメンバー”を明確にすること が必要です。
ポイントは、
- 「役職」ではなく「役割」で決める
- フェーズごとに経営チームの定義を更新する
- 社長が全部抱え込む前提をやめる
30名を超える会社は、「経営するチーム」を持てるかどうか が分かれ目です。
② 評価・等級制度の“土台”をつくる
30名前後で起きがちな悩みです。
- 「誰がどれくらい成果を出しているのか、感覚でしか語れない」
- 「給与の決め方が人によって違う、説明しづらい」
- 「成長したいメンバーに、道筋(キャリアパス)を示せない」
ここで必要なのは、完璧な制度ではなく “土台の設計図” です。
- 等級(どのレベルを期待しているか)
- 評価(何を基準に評価するか)
- 報酬(どう給与・賞与に反映するか)
この3つをざっくりでもよいので整理しないと、
「なんとなく頑張っている人」が報われているのかどうか
組織として誰も分からない
という不信感が生まれます。
③ マネジメントラインの形成
30名付近から、次の現象が起き始めます。
- 社長が直接見るメンバー:限界7〜10人
- その下に“リーダー・マネージャー”が必要になる
- 「プレイヤー兼マネージャー」が爆誕し、疲弊する
つまり、「1:N」のマネジメントから、「多層構造」のマネジメントへ 変える必要があります。
- チーム単位の目標設定
- チーム単位の1on1・フィードバック
- チーム単位の評価・育成
これを支えるために、「マネージャーの役割定義」と「マネージャー育成」が必須になります。
30名の壁を越えた会社に共通すること
RECOMOが支援してきた企業で、30名の壁をスムーズに超えた会社には共通点があります。
1. 「社長が全部見る」前提をやめる決断をしている
- 社長の仕事を「採用・評価・現場調整」から
「OS設計・経営チームづくり・未来の解像度を上げる」へシフトさせている
2. 「人ありき」から「仕組みありき」へ切り替えている
- 優秀な個人に寄せたやり方ではなく
- 誰がやっても再現できる“型”をつくり始めている
3. “30名の壁”を「成長の通過儀礼」と捉えている
- トラブルや摩擦を「成長の副作用」として受け止める
- 「だからこそOSを整えよう」と前向きに向き合う
ミニケース:30名で止まりかけた会社が“再加速”した例
あるITサービス企業(社員28名)は、こんな状態でした。
- 社長が全案件に目を通さないと不安
- 幹部会議はあるが、実質「社長への報告会」
- 評価は“なんとなく”の総合判断
そこでRECOMOでは、
- 経営チームの再定義(役割・期待値の明確化)
- 「等級×評価」のシンプルな枠組みづくり
- マネージャーへの1on1・フィードバックトレーニング
を行いました。
半年後には、
- 社長が現場から一歩離れ、未来の戦略に時間を使えるようになった
- マネージャー同士の連携が進み、エスカレーションの質が上がった
- 評価の納得感が高まり、離職が目に見えて減った
人数はほぼ変わっていないのに、「会社の空気」が明らかに変わった ケースです。
30名の壁を超えられる会社・止まる会社の差とは?
30名の壁で止まる会社は、
- 「社長のがんばり」で乗り切ろうとする
- 問題が起きるたびに「誰が悪いか?」を探して終わる
- 目の前の売上に追われ、OSの設計を先送りする
一方、30名の壁を超えていく会社は、
- 「これは組織OSの課題だ」と見抜く
- 経営チーム・制度・マネジメントラインを整え始める
- 一時的な生産性の低下を受け入れてでも、仕組み化に踏み出す
30名の壁は、“根性で乗り越えるもの”ではありません。
「組織のOSをアップデートするかどうか」を迫られるポイントです。
組織のOSから、自社の“今”を見直してみませんか?
もしあなたの会社が、
- 20〜40名くらいで
- 「なんとなくやりづらさ」を感じ始めている
のであれば、それは 「社長の限界」ではなく、「OSを変えるタイミング」 です。
RECOMOでは、組織の状態を7つの領域から可視化する
「RECOMO 3 Code診断(経営者診断/マネジメント診断/組織診断)」 を提供しています。
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「人数の壁」「採用・定着」「評価制度」など、
いま感じている違和感が 組織OSのどこから来ているのか を、
RECOMO独自の診断で可視化できます。
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