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「社員のために、正当な評価をしてあげたい」
そう願って、お金も時間もかけて立派な評価制度を導入した。コンサルを入れ、何枚もの評価シートを作り、説明会も開いた。
それなのに、導入した途端に現場がざわつき、不満が噴出する。
「なんであの人が高評価なんですか?」
「基準がよくわからないです」
「結局、上司の好き嫌いですよね」
最後には社長であるあなたが一人ひとりの評価を調整し、説明に走り回る……。
これ、実は多くの成長企業で起きている「評価制度の罠」です。
今回は、なぜ評価制度を入れると逆に組織が揉めてしまうのか、そしてビジョナリーカンパニーを目指すために、どうこの問題を解決すべきかをお話しします。
評価制度の不満、その「真犯人」はどこにいる?
まず、はっきりお伝えしたいことがあります。
評価制度を入れて揉める原因は、評価シートのデキや、点数ルールの細かさにあるのではありません。
多くの場合、問題は制度の「中」ではなく、その「手前」にあります。
- 役割定義の曖昧さ
- 運営構造の未熟さ
この2つが放置されたまま、評価という「結果」だけをきれいに整えようとするから歪みが生まれるのです。
社員は評価制度そのものが嫌いなわけではありません。「曖昧な期待」と「ブレる判断」、そして「納得感のない結果」に疲弊しているのです。
なぜ制度を入れたのに揉めるのか? 4つの構造的要因
組織づくりを支援する中で見えてきた、評価制度が機能不全に陥る共通の原因を4つに整理しました。
- 役割定義が曖昧なまま走っている
「マネージャー」という役職はある。でも、その役割が「個人の数字を追うこと」なのか「チームを育成すること」なのかが明文化されていない。これでは、現場で背中を見せて頑張っているリーダーと、数字だけ上げているプレイヤーのどちらを評価すべきか、基準がブレて当然です。 - 「評価者」が育っていない
評価とは単に点数をつける作業ではありません。相手の役割を理解し、日常を観察し、期待との差分を言語化して「成長」につなげる高度なコミュニケーションです。
このトレーニングをせずに「マネージャーなんだから評価してね」と丸投げすれば、結果は「好き嫌い評価」か「数字だけの評価」に陥ります。 - 社長依存(権限委譲の不徹底)
表向きはマネージャーに評価を任せているけれど、最後は社長が全部ひっくり返してしまう。これではマネージャーの当事者意識は育ちません。現場も「結局、社長の顔色を伺えばいい」と学習し、組織としての自立が阻害されます。 - 「日常の運営」が欠落している
評価制度で納得感が出る会社は、制度そのものではなく「日常のマネジメント」が回っています。
半年に1回の面談が「突然の死刑宣告」や「サプライズ採点」になっていませんか? 普段の1on1やフィードバックがない状態で、結果だけ伝えられても納得できるはずがありません。
評価制度は「公平化の装置」ではない
ここで経営者が陥りやすい勘違いがあります。
それは、「しっかりした制度を入れれば、自動的に公平な組織になる」という思い込みです。
現実は逆です。評価制度は公平を作る魔法ではなく、「組織の歪みを可視化するレンズ」です。
土台がグラグラな組織に評価制度を入れると、今まで見えていなかった「不都合な真実」が一気に表面化します。これは制度が悪いのではなく、これまで曖昧にしてきたツケが回ってきただけなのです。
放置した先に待つ「組織の末路」
この状態を「まだ運用に慣れていないだけだ」と放置すると、組織は3段階で崩れていきます。

- 優秀な人ほど静かに去る:
役割と責任を全うしている人ほど、不整合に敏感です。彼らは文句を言わずに、ある日突然、諦めて辞めていきます。 - マネージャーが潰れる:
基準も権限もないのに不満の矢面に立たされ、板挟みになった中間層が疲弊します。 - すべてが社長に戻ってくる:
採用、育成、トラブル対応。気づけば社長が動かないと1ミリも進まない、依存体質の組織が完成してしまいます。
ビジョナリーカンパニーへ向かうための「3つの処方箋」
では、どう立て直せばいいのか。
RECOMOが提唱する、経営組織OS(Direction / Execution / People)の観点から解決策をお伝えします。
Step 1:評価項目の前に「役割」を書き直す
評価シートをいじるのは後回しです。まずは、各役職が「何の成果責任を持ち」「どこまでの意思決定権限があるのか」を明文化してください。特にプレイヤーとマネージャーの境界線を明確に引くことが先決です。
Step 2:評価者を徹底的にトレーニングする
「人を見る目」という感覚論ではなく、事実に基づいたフィードバックをする力を養ってください。評価者同士の目合わせ(甘辛調整)を丁寧に行う場を作るだけでも、現場の納得感は劇的に変わります。
Step 3:評価制度を単体で考えない
これが最も重要です。評価は、理念(Direction)や事業戦略(Execution)と一本の線でつながっていなければなりません。
- どんな行動を良しとするのか(理念)
- そのためにどんな役割が必要か(組織図)
- それに対してどう報いるか(評価・報酬)
この「経営組織OS」全体を整える意識を持ってください。

終わりに:制度を直すのではなく、土台を整える
評価制度で揉めているとき、本当に直すべきは「制度」ではなく、その制度を動かすための「組織のOS」です。
もし今、あなたの会社で評価制度への不満が出ているなら、それは組織を強くする絶好のチャンスです。表面的なシートの修正で茶を濁さず、ぜひ一歩踏み込んで「自社の役割定義」や「日常のコミュニケーション」を見直してみてください。
「人の可能性を最大化し、理念が利益を生む組織」を作る道は、そこから始まります。
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